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いたるところに巨大物流倉庫、建てすぎではないか。 [産業・企業]

最近、思いがけない場所で巨大な物流施設を見かける。
インターチェンジの近くはもちろん、工業団地の中や郊外の広い空き地。
しかも周辺に幾棟も建っているところもある。
さらにその傍で大きなグレーンがまた新しい物流倉庫を建設している。
「なぜ、そんなに建てなきゃいけないのか」
その光景を観て、頭の中で疑問の渦が漂う。
 
いまの日本、どこか狂っている。
いまでも生産過剰で物は溢れ、道路は車だらけ、物流倉庫が増えればさらに物品は増え、トラックや車も増大するだろう。人がどんどん増えるなら話は分かるが、実際は少子高齢化が進み、人口は縮小している。
人と物流の間に大きな社会的矛盾が生じているように思える。
 
しかし、世の中をよく見ると、物流施設が足りなくなる理由もわからないでもない。
我が家の隣の家では、1日に何回も宅配の車が止まる。アマゾンの箱も多いが、よくわからない小箱を手渡している姿をよく観かける。宅配に頼る理由として、特に子育てが大変とか、体に不自由でもなく、年齢も40歳前後で健康そうな家族である。単に便利だから利用しているとしか思えない。そこの家庭が悪いと言っているのではないが、こうした人たちが大勢いる以上、この物流システムはなくてはならない存在だ。
 
昔ならば自分の足で店に買いに行くのが当たり前、いまはなんでも誰かが運んでくれる。
だからと言って、どうでもよいものに貴重なエネルギー資源と人力を使っている現代の社会構造は一体どうなっているか。おそらく、この巨大な物流倉庫の多くは、こうしたつまらない生活習慣を支えるために必要とされ、無用に数多く建設されている気がしてならない。
 
いま物流が経済発展の推進役になっているようだが、こうした流れは決して、より良い社会の構築のためになっていない。とにかく、いまの日本人の生活習慣と政治や経済構造のすべてが、資本主義や大量消費主義にかき回され、かつて美徳とされた堅実で物や人を大切にする心を軽じ、利便性だけを追求する社会につくり上げているからだ。
 
それでいいのか。どこかで、日本も社会・経済の分岐点を探る時が来ているとのではないだろうか。

タグ:物流倉庫
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スズキ、独VW社との業務提携解消。危機一髪のタイミングだ。 [産業・企業]

 スズキは09年に合意したフォルクスワーゲンとの業務提携がきちんと履行されていないと、国際仲裁裁判所に数年前から提訴しており、裁判所は先月29日VW側にスズキ株をすべて売却するように命じ、提携は事実上解消された。米国での排ガス不正事件発覚を予期したかのような絶妙なタイミングであった。

 しかし、スズキはこうなることを予測していたのだろうか。業務提携が合意後にすぐ崩れるケースは珍しい。本当の理由はメディアが今後解明していくと思うが、おそらく、当初言っていたことと全く異なる行為が提携合意後に示されたに違いない。今回の排ガス不正ソフトもまさに相手を欺く行為であり、スズキはこうした企業体質を感じとり、幾ら世界的な巨大企業と言え、組むべき相手ではないと判断したのだろう。実は、この排ガス不正問題もスズキは気づいていたのでは・・・と考えてしまう。とにかく鈴木会長の英断は素晴らしかった。 

 大きな力、大きな流れに背を向けることは勇気のいることだ。たとえ、過ちを気づいても言い出すこともできず、その流れに身を任せてしまうのが世の人のほとんど。サラリーマンの世界では会社の方針は絶対的であり、その行為が不正のようなものであっても会社のためとなれば目を瞑ってしまう。これは会社の方針、上司からの指示となれば、部下は実行しなければならないシステムになっているからだ。・・・悲しいかな、これは昔の軍隊と同じ仕組みである。

 つまり、トップ層の理念や資質は、会社の末端に大きく影響してくる。このVW排ガス不正事件を別世界の出来事と捉えている経営者たちは数多くいると思う。しかし、これは他人事ではない。「利益を出すこと」と「人を騙すこと」は全く別のものに思えるが、実は紙一重の性質があると思った方がよい。「社会に貢献、人に役立つことで」で報酬をもらい、その結果が「会社の利益」というのが本当の姿であり、そうしなければやがて社会から弾かれ、利益の追求どころではなくなってしまう。それは過去からも、そして現在でも証明されている。

 「儲ける」という概念は企業にとって非常に重要なことであるが、それよりも大事なことがあることを忘れてはならない。そんなメッセージがこの件から読み取れた。 

 

 


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独VW排ガス不正ソフト。本当に嘆かわしい事件。 [産業・企業]

 ドイツ最大自動車会社VWの排ガス不正操作事件は世界中を驚かせた。

 世界的な超有名企業がとんでもない、せこいインチキをしていたのだ。この前代未聞の事件にドイツ車の信頼がガタガタに崩れてしまった。ドイツ国民も相当憤慨していることだろう。

 しかし、その手口は非常に姑息である。同社のディーゼル車に排ガスを制御するソフトウエアを組み込み、試験の時だけ排ガス排出を抑制し、通常運転では排ガス制御をストップし、燃費効率を高める仕組みにしたことだ。ちなみに通常運転の時は規制時の約40倍。これは会社の開発部門、製造部門が組織的にやらなければできないことだ。そこまで最先端技術を駆使して違法行為をやるか、当然、VW社には厳しいコンプライアンス制度もあるはずなのに、とても信じられないことだ。

 アメリカでVWに科せられる制裁金は最大で2.2兆円というから、普通であれば会社存続の危機である。トップが変わったくらいで済まない状況であるが、また潰れても困る会社である。世界で最も多くの車を販売しているがゆえ、そのメンテナンス、フォローを担わなければならない。いまは会社の利益を犠牲にしてもユーザーに信頼回復のために尽くさなければならない。

  利益優先。また、どんな方法を使っても競争に勝ち、自分だけが得しようとする精神。本来ならば公的な企業として社会貢献しなければならないはずが、真っ逆さまである。今回の発覚で対象はアメリカだけでも48万2000台が違法車になる。本来ならば車道を走ってはならないが、そうもいかない。

 また、リコール(回収、修理)で済むのか、排ガス規制を技術的に確立していなければ、ハイブリットや電気自動車に替えてやらなければならない根本的な問題ではなかろうか。制裁金プラスユーザー対応で、やはり会社存続の危機は間違いないだろう。私の周りにもVWを愛するという車好きがいるが、彼はどんな心境でこのニュースを聞いているのだろう。本当に世界を裏切った嘆かわしい事件である。


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異常気象。野菜工場の出番かもしれない。 [産業・企業]

 この暑い夏はいつまでつづくのか。

 この日照りで土もカラカラ。趣味の家庭菜園も作物はぐったり。今年は虫も異常発生し、ナス、キュウリの葉っぱが虫食いだらけである。農薬をかけたくないので、そのままにしているが、実までかじられ、商品だったら完全にアウトである。

 しかし、スーパーで売っている野菜は相変わらずきれいだ。無農薬ではまず無理と思うが・・・。

 最近、植物(野菜)工場なるものが世の中に出現し、空き工場に栽培用のプラントを入れ生産しているようだ。初期費用や光熱費を考えると、とても露地栽培には敵うはずはないが、近年の異常気象や害虫などの被害、あるいは無農薬などを考えれば、決して採算がとれないものではなさそうな気がする。

 また、台風などが直撃したら、ビニールハウスや露地の作物はひとたまりもない。天候に左右されず、安定した収穫ができる野菜工場は結構良いビジネスかもしれない。 

 過酷な労働も、いつかロボットが担い、野菜がすべてオートメーション生産になっている日が来るのも、そう遠くないかもしれない。


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猛暑に電力不足の声が聞こえない。 [産業・企業]

連日、猛暑が続いている。全国各地で35度を超える日が1週間以上続き、熱中症による救急搬送者数、死亡者数も悪い記録を更新しそうだ。暑い夏が好きな私だが、さすがに日中は外に出る気がしない。猛暑というよりも酷暑と言った方がしっくしりくる。

さて、この夏もうひとつ気になることがある。電力不足だ。

東日本大震災の原発事故以降、すべての原発は停止され、再稼働しているのは現在ゼロである。

これまで国民には原発が無ければ、日本のエネルギーを十分に賄うことは出来ず、経済は崩壊する。だから原発は必要不可欠なものと説明されていた。

しかし、どうだろう。この異常な暑さで例年以上に消費エネルギー量はピークに達していると想像するが、特に電力不足の声は聞こえてこない。国は節電どころか、熱中症にならないようにエアコンの使用を呼び掛けている。数年前と比べ、太陽光発電や風力発電、あるいは国民の節電に対する意識の浸透もあるが、それほどエネルギー事情は大きく変わっているとは思えない。そもそも、あの時点で原発が無くても、電力を賄うには十分なキャパシティーがあったのではと疑ってしまう。

原発は燃料自体は原油などと比べ経済的であるが、維持管理に莫大な費用がかかること、また使用核燃料棒の処理に行き詰っていることも明らかになり、決して有効な発電手段でないことが国民に知らされた意義は大きい。ある意味でやっと国民が将来のエネルギーについて考えられる素地ができたと言えよう。

この夏を乗り超えれば、原発なしでもやっていかれるだろう。そして、安心して太陽光発電をはじめとする化石燃料を使用しない再生エネルギーや水素社会への移行など、新しいエネルギー社会の構築に邁進することができるのではないか。もう、以前のような原発再稼働の話は必要ないような気がする。


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建設業から超インフレが始まっている。 [産業・企業]

  インフレターゲット2%目標。

  不況にあえいでいた一昨年前に打ち出された日銀の大転換策である。だが、現在予期せぬことが起こり始めている。

  建設業界では異常インフレが発生している。2%どころではなく、20%、30%と一桁違うレベルの話だ。東北の復興、オリンピック需要、そして次々打ち出されるアベノミックス政策。これまでの需要と供給が一気に逆転し、20年前のバブル時と同水準か、あるいはそれを超える勢いのインフレ上昇が始まったのだ。

  いまや建設業では鉄筋やコンクリートの資材の高騰に加え、人手不足、型枠工や鉄筋工を確保するため高い賃金を払わなければ確保できない状況らしい。仕事が多くなったことで潤ったように思えるが、実際は採算割れで窮地に追い込められている方が多いようだ。まさにインフレの悪い面が出始め、深刻な状況になっている。

  これは建設業に限ったことではない。いまは活気に満ちて、良い感じで展開している業界も、おそらく同じ状況を辿る可能性が高い。われわれの生活にジワジワと押し迫っているようだ。はたして、日銀や政府は上手く経済をコントロールできるのだろうか。

  景気の上昇は、みんなが望んだことであるが、想定以上のダメージを覚悟しなければならない状況になったと言えよう。バブルの二の舞にならないように、政治はしっかり舵を取ってもらいたい。

 

 


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米アップル、韓国サムスン電子の特許訴訟合戦、どこまで続く? [産業・企業]

 米アップルと韓国サムスン電子と特許訴訟合戦が激しさを増している。

 ここまで来ると負けた時の影響は計り知れないのか。どちらも強気で徹底抗戦の構えだ。アップルも1企業に過ぎないが、この10年間、世界のIT社会を変え、かつ熱狂的なマックファンを抱えたスーパー企業だ。まさにアメリカの中のアメリカの企業である。ただ貪欲に儲ける企業体質、あらゆる広域にかかる特許などあまり評判が良くない一面もある。さらに天才スティーブジョブス亡きアップルに陰りを感じる空気も否めない。

 一方、サムスンはいまでは紛れもなく世界的な企業である。現在はアップルと対立するグーグル率いるアンドロイド系のスマートフォンで巨額の利益をたたき出しており、半導体やスマートフォンの世界では怖いもの知らずの存在にも観える。ただ、企業基盤は決して盤石とは言えず、製品寿命が短いハイテクの世界では数年で業績が天から地に転げ落ちることさえある。

 今回、米国際貿易委員会(ITC)でサムスン電子がアップルの特許を侵害したと認めサムスンの一部製品の米国への輸入と販売を禁止する命令を出した。また今月米通商代表部(USTR)はアップルがサムスン特許を侵害したというITCの命令を覆しており、アメリカの中ではやはりアメリカ企業の優勢さがにじみ出ている。

 ただ、この特許紛争でサムスンに正当性はあろう。しかし、これまでアップルに製品を納入することで今日の巨大企業へと成長の道を歩んでこれたのではないのか。日本企業ならば恩を受けた相手に牙を向けることはできようか。韓国企業ならではの凄みを感じる。

 また日本企業は特許に石橋をたたくような慎重さで対応するから、このような訴訟に至ることはあまり考えられない。日本を除くアジア系企業はあまりにパクリが多すぎる。知的所有権に対する考えが軽すぎることは以前から問題視されていた。

 アップルの特許戦略もやり過ぎの面もあるが、言い分もあるように思える。iponeやipadなど、これまで観たことのない独創的なデザインスタイルの製品が世の中に出現したかと思えば、いつの間にそれとそっくりな製品が世の中に溢れかえっていた。素人からすると機能やデザインがちょっと変わっただけで殆ど同じ製品に観える。先陣を切ったアップルは相当幅広い特許を押さえるのは当然だ。後陣のサムスンが特許で優位になるのはちょっと考えにくい・・・。同じように日本企業は訴えられていないところを見るときちんと特許料を支払っているのだろうか。

 一方、サムスンは電子通信技術の特許で訴訟している。そもそもアップルは自社で技術開発や製造している企業でなく、様々な部品をマック仕様で海外の企業に委託し製造・組立をさせているに過ぎない。サムスンが保有する技術を無断で使用したというが、サムスン以外でその技術を製造している委託企業があるということなのか。そこがちょっと良くわからない。ただ、こうした先端製品は特許的な技術の塊であり、一つ一つの技術に企業の命運をかけるような特許紛争の駆け引きが起これば、企業はウカウカと新商品など出すことはできない。

 この争いの結果次第では、2社だけの問題ではすまないのではないか。

 さて、まだ序盤で、お互い体力はあるようだ。どちらかが倒れるまで戦うのか、ここまで来るとメンツを懸けた戦いかもしれない。ただ、企業同志の争いを超えて、国の威信をかけたものにも発展しそうな気がする。

 日本は蚊帳の外だが、今回は観戦しているのが一番いい。 


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iPhone5、アップルも独創性よりも機能重視? [産業・企業]

  先日、米アップルiPhone5が発表された。

  画面サイズは3.5インチから4インチに拡大し、形状はやや長めになったが、厚さは18%薄く、重さは20%軽くなった。そして、次世代チップの搭載や最新の通信サービスLTE(ロング・ターム・エボリューション:国内で使用する800メガヘルツと1.8ギガヘルツを含め、5種類の周波数帯域サービス)の対応で、データ処理の高速化や幅広い情報サービスが可能になるなど、機能面でiPhone4から大きく進化した。

  しかし、そんな優れものの商品でも、市場の評価はきわめて冷静であった。これまでのアップルは、跳びぬけたサプライズを世界に放ち、他社の商品を圧倒させてきた。ipodでは音楽をCDからネット配信の世界を変え、iPhoneは電話を聴くものから、観て触るものに変え、ipad はパソコンを置いて使うものから、持って使うものへ変化させた。次々に、ゴチゴチの固定概念をひっくり返す商品を発表し、我々を興奮させてくれた。

  すべては創業者スティーブン・ジョブスの独創性によるところが大きかった。

  そのカリスマ的な彼がいないアップルは果たしてどうなるのか、いま世界中が注目している。現在の業績、株価共に最高潮に達し、今回のiphone5も予約が殺到している。当面はジョブスの影があり、その路線を歩めば順調にいくが、それだけではジリ貧化する。アップルファンは優秀な商品よりも、むしろ世の中を変えるほどの独創性に期待している。つまり、一番厳しいユーザーといってよい。

  今回の商品から観えてきたのは、リスクを伴った冒険は抑えられ、より現実的で実用的なものへの追及である。アップル哲学があったとしても、企業は成功を第一に、いや失敗が許されないとなれば、結局、そうした方向に進まざるを得ない。

  もし、ジョブスが生きていれば、今何を考えていただろうか。icar(車)なども意欲を燃やしていたと聞くが、きっと度肝を抜く、新しいコンセプトで、世界中を驚かせていただろう。現在の携帯が電話だけでないように、車がクルマでない、すごい商品が現れたに違いない。

  今回のiphoneは、以前ほどの他社商品との差異は無くなった。機能だけの競争になれば、技術的ノウハウを持つメーカーが優位である。そうなると価格競争になり、今ほどの収益性を得ることが難しい。これからは新興国も参入し、結局、薄型テレビのようにスマホもタタキ売りが始まるような気がする。

  消費者にとってはうれしいが、企業にとって厳しい消耗の年が始まろう。日本企業も現在儲かっているスマホに選択と集中してきているようだが、危険な予感がする。シャープの二の舞にならなければよいが。

  日本は原発ゼロという世界でも稀な国家に進もうとしている。自然エネルギーの活用、省エネルギーなどの分野でも、まったく新しい独創性があるはずだ。もしかしたら、スティーブンジョブスも環境について深く考えていたかもしれない。環境でも固定概念を打ち破る新しい発想や技術もあるだろう。日本企業はそんなところに活路を見出すことはできないものか。iPhone5の商品発表から、話が大きくズレたが、ジョブスのあたらしい発想はあらゆる分野に活かしてもらいたい。


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シャープは技術で負けたわけではない。その精神を捨てなければ必ず再生できる。 [産業・企業]

  シャープは、今年で記念すべき100周年を迎えるが、それと裏腹に会社の内情は大変な苦境に窮し、過酷な試練が待ち受けている。テレビなどの液晶をはじめ、太陽電池、携帯電話など、世界でもトップ水準の技術を数多く保有し、いまやそのブランド力は、ソニー、パナソニックに引けをとらない。そんな優秀な会社が存続の危機に瀕しているから驚きである。

  その致命的な原因は液晶技術への選択と集中。亀山(三重県)、堺の液晶パネル工場などに、巨額の設備投資で大勝負を懸けたものの、それが大きな誤算となった。この数年、リーマンショックや欧州経済の不振、世界的景気の冷え込みが続き、そして急激な円高と強力なライバルである韓国企業がウォン安で有利に競争を展開し、これまで築き上げたシェアも大きく奪われた。結局、製品の値崩れと在庫の山で、会社の業績は急速に悪化した。

  報道で現状を観ると、有利子負債は1兆円を超え、株価は5年前と比べると1/10以上急落、米投資格付会社からの評価も、いつつぶれてもおかしくない「投機的水準」まで格下げされている。工場や事業所の売却や大規模なリストラだけでは自力再建できず、資本提携している台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループの買収話がでるほど深刻な事態に陥っている。

  けれども、ひとつ言いたいことがある。「技術力で負けたわけではない。」 現在でもシャープの技術は世界でも一流である。経営陣の判断ミスで商売は大失敗かもしれないが、世の中に素晴らしい商品を生み出すなど、本質的には大成功を収めているのだ。

  創業者の早川徳治は小僧からタタキき上げで、幾多の失敗を繰り返しながら現在のシャープの礎を築いた。「人に真似されるものをつくれ」という徳治の言葉は、現在のシャープの企業精神に生きていると思う。企業は正しい哲学とそれを全うする人たちがいれば、必ず世の中に受けいられていく。シャープは日本のものづくりの代表格であり、これからも先頭を走るべき企業である。この苦難を乗り切り、早く再生し、また大きく羽ばたいてもらいたい。


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ソニー、パナソニックに元気がない。大企業病も慢性的。 [産業・企業]

  日本を代表する企業であるソニー、パナソニック、シャープが振るわない。業績は大赤字。人員削減に、工場は売却、かつての輝きはない。それに対してアップルやサムスンは大増益。天と地の差が開いた。

  新聞では、急激な円高、薄型テレビの過当競争、東日本大震災やタイ洪水の被害などを原因にあげている。たしかに、それらの外的要因によるダメージは大きいが、本当にそれだけなのか。実際に家電量販店に行くと、「いままでになかった現実」を見せつけられる。

   例えば、最先端商品であるタブレットPC、本来ならば小型化や高性能化を得意とする日本のお家芸商品である。しかし、売場を見渡せばアップルのiPadの圧勝だ。どこの家電店に行っても、アップル製品が店の一番目立つところで主役を張り、人を惹きつけている。一方、ソニータブレットや東芝のREGZEタブレットのなどの日本勢はといえば、店の隅の方で人も閑散とした中、とても寂しく売られている。

   でもなぜ、こんなに人気が薄いのか。かつての日本家電製品の威光はいったいどこに行ったのか。ただ、最近の日本企業を見ていると、いくつか思うところもある。  

     そのひとつには、「自社のブランドの絶対的な過信」。いままでは、どんな優秀な外国商品でも、日本の消費者は日本製品の方が絶対品質的に優れていると信じ、買い続けていた。また、裏切ることも殆どなかった。ところが、最近、その流れは違う展開になってきた。特に若い世代は、機能はそこそこ、安くて、デザイン性が良いものであればブランドにこだわらない傾向が強く、インターネットで物品を購入する層はさらにその傾向が顕著になっている。そんな中、社名やブランドにあぐらをかいていては、どんなに優良企業でも退場を余儀なくされる厳しい時代だ。

   もうひとつは、大企業特有の活力の無さ。いま、日本の中で元気がある会社社長といえばユニクロの柳井さん、ソフトバンクの孫さんがいる。いずれも創業者で桁外れの夢を語り、驚く行動力の持ち主だ。それに比べて、ソニーやパナソニックの社長は、エリートで、スマートな印象が強い。数兆円の売上げを率いる大社長であるから当然かもしれないが、創業時のギラギラしているベンチャー精神は見えてこない。会社自体も、大企業特有の優秀さだけが目立ち、面白味や魅力が薄れて、それが商品にも表れているような気がする。バブル以降もずっと日本をけん引してきたこれらの看板企業、ここが元気をなくしたら、そのダメージは果てしなく大きい。

   今回のアップル、サムスンとの勝敗は、決算上、超円高などの外的要因で説明できるが、本当のところは「チャレンジする力」の差であろう。長い間、経済大国で平和な時代が続いたことで、日本人の「ハングリーさ」や「ひた向きな真面目さ、危機感」が、すっかり失せてしまった。その緩みこそ、日本企業の元気、気迫の無さの本質的問題であり、もう一度、それらを取り戻さない限り、本当の危機が訪れるのではないだろうか。ソニー、パナソニックの業績不振はそんな予兆を示しているような気がしてならない。


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大企業が「野菜工場」、農業に日本の技術力を結集できないか。 [産業・企業]

  先日、トヨタが福島に野菜工場をつくる記事を見た。土を使わない水耕栽培でレタス等の葉物野菜を栽培する計画らしい。トヨタグループでは、これまでにも国内最大級のパプリカのハウス栽培の実績もあり、農業にも視野を広げているようである。

  ”いかに農業を再生させるか”、いままで、ずっと言われ続けてきた問題であるが、いよいよ待ったなしの状況に追い込まれている。農業がTPP参加を巡る最大の争点になっているからだ。

  TPPは、例外なき関税撤廃を条件とする自由貿易である。日本にとって、国際的に競争力のある工業分野にはメリットが高いけど、国から手厚く保護されている農業関連分野には、非常に厳しい環境にさらされるのは間違いない。さらに現在のような円高が進めば、ますます状況は不利になる。どう考えてもメリットは出てこない。

  個人的にはTPPの参加は反対であるが、日本の農業の再生には早く本腰を据えてもらいたい。これから世界的な食糧難が訪れようとする中、いまでも低い食糧自給率であるのに、さらにジリ貧に低下し、国家安全保障上、極めて危険な状況になりかねない。農業を本当に大切にしていかなければならないと考える。

  しかし、日本の農業政策にも問題がある。農家従事者の高齢化と手厚い保護政策によって、生産の不効率化、斜陽化が進んでいる。これは打破しなければならない。

  海外問題はさておき、国内企業参入や大規模農業の促進などは、是非やっていかなければならない課題だ。トヨタの参入は大いに結構なことだと思う。

  日本は国土が狭いけど、温暖な気候と豊富な水がある。また、あらゆる技術、ノウハウを持った国であり、農業分野でも十分活かせるはずだ。もし、LEDなどの人工照明や空調システムを駆使して、農産物を栽培できれば、超高層ビルのような大温室建物で、野菜や果物などを大量生産するのも夢ではない。異業種である工業やITで培った技術も大いに活かし、不効率で不採算な農業を、高効率でもうかる業種になれば産業構造も一変するだろう。

  工業の分野では大企業、中小企業、あるいは個人企業など、それぞれが役割を持ち、住み分けができている。農業分野でもそうした形ができれば、現在の専業農家も国際競争力の中で生き残れるかもしれない。それには、農家や企業だけでなく、自治体や国も協力し、総力を挙げて新しい農業体系をつくることが必要と思う。

  人間生きていく上で、まずは食べることが第一である。そのためには、自国で食糧を確保できることが、一番安心で安全である。いままで、農業は隅に追いやられていたように思えるが、これからは最重要政策として、取り組んでもらいたい。


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リチウムの次は「塩」? ナトリウムイオン蓄電池技術に大いに期待。 [産業・企業]

  いま、燃料電池、蓄電池で画期的な研究が進んでいるようだ。

  昨日の報道ステーションでは東京理科大学藪内准教授のグループが研究を進めているナトリウムイオン蓄電池が紹介された。効率は現在のリチウム電池と比べて6割程度らしいが、さらに性能の向上が見込め、今後は大いに期待できそうな技術である。また、色々調べてみると、住友電工も今年の春、電解質に溶融塩だけ使って小型化できる新しい蓄電池開発の発表をし、家庭向けの実証実験も行っているようだ。実は次世代蓄電池の技術開発競争も着々進んでいるようで、頼もしい気分になる。

  この溶融塩もまだ研究が浅くて、課題も多いという。だが、何といっても、原材料は「塩」だから資源は無尽蔵で、コストが安く抑えられる利点がある。現在主流のリチウムは、原産地はチリなどの特定な地域に限られているため、今後の世界的な大需要に、原材料の高騰はとても避けられそうにない。そういう意味でも早く本格的な実用化が望まれる。

  これまで発電技術である太陽光パネルは年々効率も高くなり、コストも普及レベルまで下がってきていた。しかしながら、エネルギーを貯める技術がいまひとつ出遅れている懸念が強く、国のエネルギー政策も自然エネルギーへと思い切って舵を切ることができなかった。こうした新しい技術開発、実用化が実り始めると、ようやく将来の全体像が見え始め、そこに力を集中することができる。是非、政府は「脱原発」を旗印に、再生可能エネルギーの実現に向けて邁進してもらいたい。

  資源のない日本にとって、エネルギーは死活問題である。しかし、危機であるからこそチャンスも生み出すことができる。かつて、世界最高の省エネルギー技術と讃えられたように、今度は自然エネルギー技術で世界をリードし、経済再生へと導いてもらいたい。


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計画停電、節電ばかりでなく、はやく将来の電力供給(発電)ビジョンを示せ。 [産業・企業]

 これから先、日本の電力はどうなるのか。みんな不安に思っている。

 福島原発の事故により、東京電力の電力供給力は大幅にダウン。この電力を補うことは事実上不可能である。その対応策が節電。これを計画的な停電で対処しようとしているのが現状だ。しばらくの間はそれでいい。しかし、それがいつまで続くのか、みんなイライラしている。

 現在、計画停電の影響で、首都圏の交通機関は相変わらず混乱が続いている。当初から比べれば、今はだいぶスムーズになってきたものの、またいつ電車が止まるのかと思うと、毎日の出勤、通学に不安が募る。交通機関だけでも別系統の電力を使ってもらいたいものだ。

 しかし、気が付けば、我々の生活はすべてと言っていいほど電気に依存している。突然、それが使えないと言われても困惑するばかりである。日々の生活が全く成り立たない。

 だが、残念ながら現実を受け止めざるを得ない。限られた電力を大事に使うしか選択肢はないのだ。ゆえに、みんなで節電に協力し、混乱を最小限に抑える事が最善なのである。

 そんな状況の中、東京電力あるいは政府は、節電や停電の事ばかり言っている時期をもう過ぎている。半年先、1年先、あるいは10年先の電力供給計画を早く示さなければならない。みんな生活がかかっている。我慢するにも将来の安心がなければ続けることはできない。

 その電力の供給計画、どうしたらよいのだろうか。事実上原子力には頼れない。だからと言って、火力、水力も環境面から簡単に推進できない。そうなると次は、太陽光発電、蓄電池を組み合わせたスマートグリット計画があげられる。だが、太陽光発電は原子力と比べて発電力が低く、すぐに福島原発の穴埋めを出来るとは思えない。

 したがって、様々な工夫が必要となる。たとえば、西日本と東日本の電力の変換を大きくし、日本全体で大量の電力を融通できるシステムにするとか、建物や設備機器も更なる省エネルギー技術の推進も必要になるだろう。ある意味で、世界に先駆けて新しいエネルギーシステムを構築できるチャンスでもある。それに果敢に取り組んでいかなけらば日本の再興はできない。

 ならば一刻も早く、そのビジョンを示してほしい。政府は原発事故の対処で頭がいっぱいかもしれないが、国民はみんなイライラしている。いまこそ、政治家の本領が試されるときだ。もう政党間で足を引っ張り合う時間的余裕はない。日本人として、この問題に真剣に、そして全力で取り組んでもらいたい。とにかく、そう切望する。


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いま「工場見学」がホット。日本のものづくり現場は凄い。 [産業・企業]

 最近、商品が原材料から完成品するまでの製造工程を紹介する「工場見学」をテーマにしたテレビ番組をよく観る。人気バラエティ番組でもよく取り上げられ、クイズを交えながら家族で楽しめる内容のものが多い。ひと昔前、工場見学といえば小学校の社会科授業の一環で、退屈でつまらないイメージが強く、しかも汚くて、暗く、過酷な作業環境のところが多かった。

 ところがいまは違う。人気のある工場は観光ルートに組み込まれるほどで、試飲や試食、そして、お土産なども充実して、大人から子供まで色々楽しめるそうだ。最近ではこの工場見学のガイドブックが発売され、初版が品切れになるほどの売れ行きらしい。いまや地味な「ものづく現場」が人を引き寄せる、まさにショールームに変身している。

  先日もテレビでヤマザキパンのパン作り現場を紹介する番組があった。我々の馴染みある食パンや菓子パンが、こんな風に出来上がっていくのかと、本当に感心させられるシーンの連続で、まるで商品が生きているかのような錯覚をしてしまうぐらいであった。もちろん番組では、興味を持たせる為、カメラアングルやナレーションでよりオモシロ、オカシク表現しているが、それだけでない。これを支える製造技術の独創性や凄さにも感動させられる。

  生産ラインは、基本的にベルトコンベア方式で、狭いスペースの中、クネクネと回る造りになっている。その製造ラインは遊園地のアトラクションのように色々な仕掛けがあり、原料の小麦粉から、そのひとつひとつの工程を経ながら、りっぱなパンに仕上がっていく。その光景は、子供が成長するさまに似ており、そのせいか、パンにもちょっと愛(いと)おしさを感じてしまう。

 番組では様々な工程をいろいろなシーンに重ね合わせ面白く解説している。たとえば、パンに回転チューブでイチゴクリームを均し塗りする工程を「トリプルアクセル」、あんぱんにヒレヒレでつや出しをする工程を「シンクロナイトスイミング」など、まるでパンのスポーツ大会のように語られ、観る者を楽しい気分にさせてくれる。そんなユニークな製造工程に、日本の技術がキラリと光ってるのも見どころだ。

  日本の生産技術の強さはトヨタのかんばん方式をはじめ、重工業や電機電子業界に注目されるが、むしろ、これらの食品製造工場の方が日本らしく、世界中どの国でも真似が出来ない技術に思える。先進国であるヨーロッパやアメリカの先進国でさえ、こんな器用な製造ラインを発想し、実現できるとは考えられない。韓国、中国も技術で日本を追い越したと言われているが、こうしたきめ細やかな技術力はまだまだ日本の方が上であると思う。

 この製造技術は、機械メーカーのエンジニアだけでなく、食品工場のスタッフや職人などのコラボレーションで成しうるワザである。このような技術の結集はまさに日本のお家芸だ。

  このヤマザキパンでは多種多様の商品を、1日何万個も作っているという。こうした製造を可能にしているのは日本人のものづくりにおける技術のこだわりである。これは能力と言うよりも、文化と習慣の力でもある。だから、簡単には真似ができるものではない。

  だが、多種多様な商品を製造する能力は、時には採算性の低下を招き、経営的には必ずしもいい結果をもたらすとは限らない。新興国のように単品大量生産の方が効率的で、それに比べ、日本は多くの無駄を費やしているのかもしれない。しかしながら、日本の消費者はわがままだ。そして日本人は、昔からそれに応えようと努力する精神が染みつき、勤勉に働く。だから、信じられないような特異な商品も平気で作ってしまうのだ。これも文化の力と言えよう。

  いま中国やインドは経済成長期で、多くの消費者は量を求める傾向にある。だが、いずれ量から質に転じる時期が来るだろう。その時、日本の多種多様化を実現できる技術が本領発揮する時代になる。いま日本の技術はガラパゴスと茶化されているが、それに卑下することはない。日本は自分の生き方をしっかり持ち、それを武器に突き進むべきである。そんな特殊な国が世界にひとつぐらいあってもいいのではないか。


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水ビジネスで、日本は最強の資源国になれる。 [産業・企業]

 世界中で水不足が深刻化している。

  衛星写真で観る日本は、全周囲青々とした海にかこまれ、国土の3分の2を占める緑豊かな山林、あるいは台地から数え切れない多くの河川や湖を有している。最近では、猛暑や豪雨、豪雪などの異常気象で、日本の気候は温暖地帯から外れているという声もあるが、世界を見渡せば、きわめて温暖で、稀にみる「水に恵まれた国」である。

  しかし、それとは対照的に、地球上で緑の大地といわれた地域で、急速な砂漠化、乾燥化が進んでいる。大砂漠地域といえば有名なアフリカのサハラ砂漠、中国のタクラマカン砂漠、アメリカのソノラ砂漠、オーストラリアのグレートカンディ砂漠など思い浮かぶ。いずれも圧倒的な広さと過酷さを有し、草木が育つことも、生き物も寄り付くこともできない環境である。そんな乾燥地帯が各地で刻々と広がり、美しい緑の景色を消している。サハラ砂漠では年間150ヘクタールの土地が砂漠化し、中国では首都北京にまで乾燥地帯が迫っているという。大変な事態が起きるのに100年とかからなそうな勢いだ。

  この砂漠化の原因は地球温暖化の影響だけでなく、人為的な要因も大きいと考えられている。特に発展途上国における木材の伐採、放牧地や耕作地の拡大、あるいは乱開発は、緑豊かな自然を食い潰し、乾燥した土地へと変貌させている。これは発展途上国だけの責任ではなく、そういう状況に追い込んでいる先進国の責任でもある。いわば人類全体の責任なのだ。 こうした砂漠化、乾燥化の問題は、同時に「水」の問題を提起している。

 今、世界で最も深刻な問題は水不足といっていいだろう。 われわれ日本人は、水道をひねればタダ同然の価格で、おいしい水を得ることができる。そのためか、水がどれほど貴重なもので、大切なものかを、あまり深刻に考えていない。世界では水が得られず、死活問題に瀕している地域も数多くあるのだ。

  コンビニに行くと、ペットボトルの天然水やミネラルウォーターがずらり並んでいる。通常500ml入の天然水を購入すると約110円かかる。よく考えてみれば、ガソリン1リッターで140円。つまり、おいしい水は、ガソリンの約2倍の価格で売られているのだ。我々は、そんな認識を持っているだろうか。水と石油を同じ資源とみれば、アラブ産油国より、水が豊富にある日本の方が資源国家と言えるかもしれない。

  今、中国が日本の安い山林を買い漁っていると聞く。水ビジネスの為に資源地の利権を確保しているらしい。そんな強(したた)かな外国勢に、日本はこの恵まれた資源に指をくわえて観ているだけなのだろうか。政府や自治体は早急に対策をとらなければならない。 もうひとつ日本の水ビジネスに対する甘さがある。日本にはおいしい天然水が豊富にあるのにもかかわらず、ヨーロッパから大量のミネラルウォーターを輸入している。本来ならば100%国産で占めて良いはずなのに、なぜ遥か遠い国の水を運んでまで、売られているのか、その理由が解らない。ワインと違って味の違いは、さほどないはずだ。単に商売が下手なのか。

  そんな日本の水ビジネスの遅れに対して、民間でない東京都が独自の浄水技術で世界に水を売ろうという計画がある。大いに賛成である。日本の技術をこういう分野でこそ活かすべきだ。この水ビジネス、110兆円規模の市場があると言う。豊かな自然とあわせて、世界に水を売り込めば、産油国並みの富を潤えるかもしれない。

  環境ビジネスは太陽電池と燃料電池だけでない。これから日本の一番の強みを「水ビジネス」にすれば、最強の資源、技術の輸出国になれるかもしれない。

砂漠化する地球の診断 (環境と人間)

砂漠化する地球の診断 (環境と人間)

  • 作者: 根本 正之
  • 出版社/メーカー: 小峰書店
  • 発売日: 2001/11
  • メディア: 単行本

水ビジネス  110兆円水市場の攻防 (角川oneテーマ21)

水ビジネス 110兆円水市場の攻防 (角川oneテーマ21)

  • 作者: 吉村 和就
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2009/11/10
  • メディア: 新書


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電気自動車、競争の火蓋は切られた。 [産業・企業]

  今年は電気自動車元年の年になりそうだ。いや、すでに競争の火蓋は切られている。

  今日のニュースで、「フランスルノーは日産と共同開発している電気自動車の研究技術が一部の幹部社員によって漏洩」という話があった。日産は早くからこの技術に着手しているため、技術ノウハウが豊富である。熾烈な競争はスパイを巻き込み、まさに戦争並の戦いが始まっているようだ。

  この電気自動車は今までの産業構造をひっくり返す力を持っている。 これまで自動車業界は特殊な技術やノウハウを必要とする特別な業界とされ、生き残れるのも数社の限られた大企業とされていた。

 ところが、電気自動車では状況が一変する。自動車会社の技術の要、心臓部のエンジンは電気モーターに変わり、さらに技術の勝負どころは燃料電池にかかっている。いわば自動車会社の得意分野がスッポリ、他に持っていかれたカタチである。こうしたことから、新たに電池や電気機器を得意とする企業と手を組まなくてはならず、逆に電気関連業者が主力を担う状況になりつつある。

  また、これまでの自動車のように扱いが極めて難しい内燃機関がなくなるため、全体のシステムもガラリと変わり、逆に自動車技術にあまりノウハウのない異種業種も参入できるチャンスがでてきた。あらゆる会社からバーツ(部品)を調達し、それを組み立てるパソコン企業のような産業形態が出来上がっていくことが予想される。そうなれば新興国のオハコだ。トヨタ、ホンダと言えども過去の実績にしがみ付いていられない。大変な時代の到来である。

  また、その系列の販売店も今までのように親会社の製品をさばくだけでは商売が成り立たなくなるだろう。すでに家電量販店のヤマダ電機が電気自動車の販売を始めた。ヤマダで数百万円の自動車を買えば凄いポイントがつく。テレビや冷蔵庫もポイントで買えるとなれば、客はそちらに集まるだろう。とにかく、巨大産業全体が総崩れし、あらたな産業編成になるのは間違いない。 トヨタが自動車売上で世界一に輝いたのは記憶に新しいが、次なる主役にとどまっていられるかどうかは、今後の戦略次第である。かつてコンピュータの世界では、「巨人IBM以下、すべて小人」と言われた時代があった。いまでは、そのIBMの名前すら滅多に聞くことはない。時代の移り変わりはとにかく早い。

  だが、逆の見方をすると、これから新しいチャンスも次々に生まれる可能性が秘められている。閉塞感が漂う今日の日本、経済、産業界で新たな息吹を芽生えさせることができるだろうか。韓国をはじめ、新興国の追い上げも、この分野ではますます激しさを増してくるだろう。日本の先端技術の優位性も最近では怪しいものになりつつある。大企業もベンチャー企業のような姿勢で取組まねば、この激動の時代に生きていくことは難しいだろう。しかし、またチャンスもある。

電気自動車が革新する企業戦略 自動車、ハイテク、素材、エネルギ−、通信産業へのインパクト

電気自動車が革新する企業戦略 自動車、ハイテク、素材、エネルギ−、通信産業へのインパクト

  • 作者: A.T.カーニー パートナー川原 英司ほか
  • 出版社/メーカー: 日経BP出版センター
  • 発売日: 2009/11/02
  • メディア: 単行本

電気自動車ウォーズ 日産・三菱・トヨタ・ホンダのエコカー戦略

電気自動車ウォーズ 日産・三菱・トヨタ・ホンダのエコカー戦略

  • 作者: 塚本 潔
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2010/03/05
  • メディア: 単行本


タグ:電気自動車
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電子書籍時代の幕開けであるが・・・。 [産業・企業]

 12月半ば、世の中はすっかりクリスマス、忘年会モードで、街の中は年の瀬に向かい賑わいを様している。 今年の年末商戦はどうであろうか。先月、エコポイント締め切りで大勢の人が殺到し、ある家電量販店では前年比の5~6倍売り上げがあったと言う。そのひずみなのか、最近は人が溢れ返っていた薄型テレビ売り場の前でも、お客さんの姿はまばらだそうだ。この先苦戦が続きそうな感じである。

  それに対して、いま熱いのが、電子書籍である。今年の秋にアップルのipadが日本に上陸して、大きな話題になったが、今月に入り、いよいよ国産勢のソニー、シャープが新製品を投入してきた。  特徴としてはソニーが書籍の読みやすさを追求した「リーダー」、電子インクの技術を応用し、目が疲れないものらしい。一方、シャープの「ガラパゴス」は多機能性を追求し、ゲームや音楽なども楽しめるという。いずれも日本の高い技術力を駆使した優れものだ。

  しかし、我々が期待していた電子書籍とちょっと違う点もある。と言うのは、その電子書籍を使えば、あらゆる本や雑誌、新聞などが読めるのではない。ハードと出版社との契約があり、ハードごとに読める書籍の対象が異なるのだ。これでは、せっかくの良い商品もなかなか消費者の心を掴む事は難しいのではないか。 また、そんなことでグズグズしている内に、日本や世界の市場を韓国や中国などにあっという間に席巻され、日本の優位性はなくなってしまいそうである。心配しすぎかもしれないが、ガラパゴスも本当のガラパゴスになってしまう可能性もありえる。 

  日本はものづくりに対しては、好奇心、チャレンジ精神が旺盛であるが、どうも文系的思考になると極端に保守的意識が強すぎる傾向になる。自分達の権利と縄張りを守る事ばかり執着しては、結局のところ「置いてけぼり」が落ちである。 今後、ソニー、シャープだけでなく、様々な家電業界が参入し、激戦を様するであろうが、コンテンツサービス分野でもそうなることを期待する。

 たぶん、電子書籍の世界を制するものは、すぐれた製品の性能・技術ではなく、むしろ消費者のニーズを掴む事が、最大の勝算といえるだろう。これはかつてのベータ、VHSのビデオ戦争の時と同じだ。その教訓を十分活かしてもらいたい。

電子書籍の時代は本当に来るのか (ちくま新書)

電子書籍の時代は本当に来るのか (ちくま新書)

  • 作者: 歌田 明弘
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2010/10/07
  • メディア: 文庫


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トヨタの再生は、日本の再生につながる。 [産業・企業]

 今年はトヨタの試練の年である。

 昨年は自動車の販売数で世界一を達成し、攻め捲くる年であったが、今年は一転して守備の年になってしまった。だが、守りばかりでは、どんどん攻められるだけで、苦労して築き上げたブランドイメージも総崩れしてしまう可能性がある。当初、豊田章男社長はアメリカの公聴会に出席することをためらっていた様だが、逆に、出席して、議会から矢面に立されることが、結果的に良い印象を与えることができたと思う。

 最初は頼りなく思えた新社長であるが、議員たちの激しい追求にも、臆することもなく、また弁明じみた感じもなく、苦しく、辛い場面もあったが、懸命に立ち向かうその姿勢は好印象であった。真摯でまじめな姿は、アメリカ人が最も苦手とするタイプのようで、豊田社長に対する批判は少なかったように感じる。

 アメリカ人は、決して甘い態度はとられないだろうが、利益がすべてと考えているずる賢いCEO達とは一線を画す人物と見えたのではないか。もちろん、実行が伴わなければ、そんな評価もすぐに吹っ飛んでしまうので、有言実行でしっかりやってもらいたい。

 しかし、経営者はやはり若い方がいい。若さで、経験がなく、未熟な分、一生懸命さと熱意でカバーしようとする姿勢がでている。年をとると、どうもその熱意が薄れてくる。これが、企業の老化かもしれない。外側から元気が無く見える会社は、自分たちは気がつかないものだが、老化か、病気が進んでいるのだ。

 老化を防ぐには、トップの交代。病気を治すにはリストラである。ただ、トップ交代でも、自民党の政権時代のように、さらに年取ったクセのある老人たちが出てきて、縄張り争いをくり返し、組織の老化を促進させる場合もある。また、リストラでも病気の基である部署が逆に頑張ってしまい、せっかく育ってきた新しい部分を切り取ってしまうケースもある。実際は改革とは難しいものだ。日本の政治、経済、企業の元気の無さは、本当はそんなところにあるのではないだろうか。

 ある意味で、トヨタは若い社長に変わり、また、社内の組織改革、リストラも自分自らでなく、外側のアメリカの強い圧力で手術をさせられている感じである。非常に厳しい状況だが、今後のトヨタを考える上でラッキーなことだったのではないだろうか。

 豊田新社長は、いまや世界中で一番顔の売れた経営者になった。顧客への信頼、品質・安全の向上という大義名分のもとで、大ナタを振るい、名実ともに世界で一番自動車会社として再生してほしい。
トヨタの再生は、きっと日本中の企業の手本になり、「日本の元気」を創るキッカケとなると信じる。
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ユニクロの躍進、ハイテク技術がアパレルを変える。 [産業・企業]

 ユニクロの絶好調ぶりが伝えられている。
990円格安、ジーンズや肌着「ヒートテック」などの商品が当たり、売上は3割増、利益も1086億円と過去最高だそうだ。ユニクロのすごさは、単なる格安ではない。デザインがよく、しかも世界中のネットワークを使い、低価格、高品質を可能にしているところだ。そうした圧倒的強さを企業システムとして築き上げている。
 
 先日、パリでオープンした店は、開店前に800人の行列ができるほどの盛況ぶりで、そのブランドは世界のファッションの都でも十分認められたと言ってよいだろう。

 不調続きのアパレル業界で、ユニクロはただのひとり勝ちか。

 今は確かにひとり勝ちである。しかし、よく考えると、ユニクロブランドが引き金になり、再び世界で、日本性の製品に注目が集まる可能性がある。特にヨーロッパなどでも若い世代では、東京の女子高生のファッションやアニメなど日本に対する関心も高く、良い連鎖反応が起きれば、新しい大きな場を作り出し、面白い展開になるかもしれない。ある意味で、色々な可能性を引き出すきっかけを作っていることは間違いないと思う。
 
 それからもう1つ、今回のユニクロ旋風で見逃してはならない点がある。
それは、従来と違った新しい商品概念が入っている。さりげなく、「保温性」や「軽さ」を売り物にしているが、実は日本の繊維業界の高い技術が使われているそうだ。

 いままで、ポリエチレンや綿など、一般的な繊維で、いかに安く、ユーザーが求めるファッショナブルな衣服をつくるかが勝負であったが、これからは快適性の良し悪しも大きな要因になり、それを支える「技術力」で勝敗を分けるカギになるかもしれない。それには「繊維の技術力」や「織り方のノウハウ」など、高いレベルの科学技術が必要になる。将来的には、冬に分厚いコートと同じくらいの保温性の高い薄い上着や、夏に汗を吸放出し、暑さを感じさせないシャツなどが開発されるかもしれない。
 
 そう考えると、やや斜陽的であったアパレル業界も、ハイテク技術と連携し、新しい展開が始まりそうな気がする。ユニクロは、その1歩を踏み出して、成功したのではないだろうか。

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建設業は構造改革をしなければならない。 [産業・企業]

 現在、建設業は非常に厳しい時代に直面している。

 公共事業も年々減少の一途を辿り、本年度予算でも見直しがさらに加速され、10年前と比較すると40%減になっている。また、民間の設備投資も金融危機以降、大幅に控えられ、マンション等の住宅関連の冷え込みも尋常ではない。
 バブル崩壊以降も、建設業は冬の時代が永く続いているが、今はまさに厳冬から、氷河に入りつつある。その建設業の就業人数は全国で520万人と最も多く、しかも、50歳以上の人の割合が全体の50%を越える超高齢産業である。また、2008年度の倒産件数は4500件を上回り、全体の約3分の1を占め、その深刻さは異常なところまできている。

 現在の建設業では、どのような事が起きているのだろうか。建築を主体とする建設業の話では、仕事が少ない為、競争入札では勝ち抜くために赤字覚悟で見積を提出しているらしい。けれども実際、受注した業者の金額はさらにそれを下回っており、もう体力勝負の世界に入っているようだ。実際、赤字で受注した物件の利益を回復させる為には労務費を削減するしかない。労働者も仕事のない状況下では、収入が半値になっても受注するしか選択の余地がないようである。

 こうした中で、建物の品質は確保できるのだろうか。
まだ記憶に新しいが、耐震偽造は、コストを無理やり低減する為に起きた事件がある。あれから建築基準法の改正などで、設計品質における基準は厳しくなったが、労働者の施工品質までは網羅できていない。すべての作業内容を検査することは不可能であり、大半は実際作業する人の仕事の質にかかっている。安い仕事に適正な条件で仕事ができるはずがない、建物の施工品質が犠牲になっていなければと非常に疑念が残る。

 建設業が立ち直るためには何が必要か。建設業は非常にローテクなイメージがあるが、ハイテクの粋を集めたジャンボ旅客機とマンション建設で使われる部品、部材数はほぼ同数と言われている。実際、あの巨大な超高層ビル等の設計図はミリ単位で描かれおり、その施工精度で造られているのだ。「ものづくり」と言えば、すぐに製造業をイメージするが、実は建設業も高度な技術を持った立派なものづくり集団なのである。

 建設業はそうした高い技術を持っているものの、相変わらず古い考えや体質の中で生き続けている。そのため、新しい発想、提案能力が地球視野の世界でもまれている製造業と比較すると大きく見劣りしているのが現状だ。これから先、環境配慮による循環型社会、介護、福祉に対応した高齢化社会へ移行していく中、環境技術の取り組みが必要であり、人に優しさを感じる建物など新しいニーズが求められている。そうしたコア技術を磨き、「こんなことができる」ということを世の中に示していく必要がある。

 今後、多少の景気の回復もあるだろうが、建設業の抜本的な問題は、新しい時代に対応できず、新しいニーズが掘り起こせないことから来ている。これからの時代に焦点を当て、現在保有している高い技術を武器に新たに市場を開拓し、世の中を建設で幸せにしていくことが、これからの建設業の課題であり大きな使命と思う。


タグ:建設業
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