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建設業は構造改革をしなければならない。 [産業・企業]

 現在、建設業は非常に厳しい時代に直面している。

 公共事業も年々減少の一途を辿り、本年度予算でも見直しがさらに加速され、10年前と比較すると40%減になっている。また、民間の設備投資も金融危機以降、大幅に控えられ、マンション等の住宅関連の冷え込みも尋常ではない。
 バブル崩壊以降も、建設業は冬の時代が永く続いているが、今はまさに厳冬から、氷河に入りつつある。その建設業の就業人数は全国で520万人と最も多く、しかも、50歳以上の人の割合が全体の50%を越える超高齢産業である。また、2008年度の倒産件数は4500件を上回り、全体の約3分の1を占め、その深刻さは異常なところまできている。

 現在の建設業では、どのような事が起きているのだろうか。建築を主体とする建設業の話では、仕事が少ない為、競争入札では勝ち抜くために赤字覚悟で見積を提出しているらしい。けれども実際、受注した業者の金額はさらにそれを下回っており、もう体力勝負の世界に入っているようだ。実際、赤字で受注した物件の利益を回復させる為には労務費を削減するしかない。労働者も仕事のない状況下では、収入が半値になっても受注するしか選択の余地がないようである。

 こうした中で、建物の品質は確保できるのだろうか。
まだ記憶に新しいが、耐震偽造は、コストを無理やり低減する為に起きた事件がある。あれから建築基準法の改正などで、設計品質における基準は厳しくなったが、労働者の施工品質までは網羅できていない。すべての作業内容を検査することは不可能であり、大半は実際作業する人の仕事の質にかかっている。安い仕事に適正な条件で仕事ができるはずがない、建物の施工品質が犠牲になっていなければと非常に疑念が残る。

 建設業が立ち直るためには何が必要か。建設業は非常にローテクなイメージがあるが、ハイテクの粋を集めたジャンボ旅客機とマンション建設で使われる部品、部材数はほぼ同数と言われている。実際、あの巨大な超高層ビル等の設計図はミリ単位で描かれおり、その施工精度で造られているのだ。「ものづくり」と言えば、すぐに製造業をイメージするが、実は建設業も高度な技術を持った立派なものづくり集団なのである。

 建設業はそうした高い技術を持っているものの、相変わらず古い考えや体質の中で生き続けている。そのため、新しい発想、提案能力が地球視野の世界でもまれている製造業と比較すると大きく見劣りしているのが現状だ。これから先、環境配慮による循環型社会、介護、福祉に対応した高齢化社会へ移行していく中、環境技術の取り組みが必要であり、人に優しさを感じる建物など新しいニーズが求められている。そうしたコア技術を磨き、「こんなことができる」ということを世の中に示していく必要がある。

 今後、多少の景気の回復もあるだろうが、建設業の抜本的な問題は、新しい時代に対応できず、新しいニーズが掘り起こせないことから来ている。これからの時代に焦点を当て、現在保有している高い技術を武器に新たに市場を開拓し、世の中を建設で幸せにしていくことが、これからの建設業の課題であり大きな使命と思う。


タグ:建設業
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