SSブログ

電気自動車、競争の火蓋は切られた。 [産業・企業]

  今年は電気自動車元年の年になりそうだ。いや、すでに競争の火蓋は切られている。

  今日のニュースで、「フランスルノーは日産と共同開発している電気自動車の研究技術が一部の幹部社員によって漏洩」という話があった。日産は早くからこの技術に着手しているため、技術ノウハウが豊富である。熾烈な競争はスパイを巻き込み、まさに戦争並の戦いが始まっているようだ。

  この電気自動車は今までの産業構造をひっくり返す力を持っている。 これまで自動車業界は特殊な技術やノウハウを必要とする特別な業界とされ、生き残れるのも数社の限られた大企業とされていた。

 ところが、電気自動車では状況が一変する。自動車会社の技術の要、心臓部のエンジンは電気モーターに変わり、さらに技術の勝負どころは燃料電池にかかっている。いわば自動車会社の得意分野がスッポリ、他に持っていかれたカタチである。こうしたことから、新たに電池や電気機器を得意とする企業と手を組まなくてはならず、逆に電気関連業者が主力を担う状況になりつつある。

  また、これまでの自動車のように扱いが極めて難しい内燃機関がなくなるため、全体のシステムもガラリと変わり、逆に自動車技術にあまりノウハウのない異種業種も参入できるチャンスがでてきた。あらゆる会社からバーツ(部品)を調達し、それを組み立てるパソコン企業のような産業形態が出来上がっていくことが予想される。そうなれば新興国のオハコだ。トヨタ、ホンダと言えども過去の実績にしがみ付いていられない。大変な時代の到来である。

  また、その系列の販売店も今までのように親会社の製品をさばくだけでは商売が成り立たなくなるだろう。すでに家電量販店のヤマダ電機が電気自動車の販売を始めた。ヤマダで数百万円の自動車を買えば凄いポイントがつく。テレビや冷蔵庫もポイントで買えるとなれば、客はそちらに集まるだろう。とにかく、巨大産業全体が総崩れし、あらたな産業編成になるのは間違いない。 トヨタが自動車売上で世界一に輝いたのは記憶に新しいが、次なる主役にとどまっていられるかどうかは、今後の戦略次第である。かつてコンピュータの世界では、「巨人IBM以下、すべて小人」と言われた時代があった。いまでは、そのIBMの名前すら滅多に聞くことはない。時代の移り変わりはとにかく早い。

  だが、逆の見方をすると、これから新しいチャンスも次々に生まれる可能性が秘められている。閉塞感が漂う今日の日本、経済、産業界で新たな息吹を芽生えさせることができるだろうか。韓国をはじめ、新興国の追い上げも、この分野ではますます激しさを増してくるだろう。日本の先端技術の優位性も最近では怪しいものになりつつある。大企業もベンチャー企業のような姿勢で取組まねば、この激動の時代に生きていくことは難しいだろう。しかし、またチャンスもある。

電気自動車が革新する企業戦略 自動車、ハイテク、素材、エネルギ−、通信産業へのインパクト

電気自動車が革新する企業戦略 自動車、ハイテク、素材、エネルギ−、通信産業へのインパクト

  • 作者: A.T.カーニー パートナー川原 英司ほか
  • 出版社/メーカー: 日経BP出版センター
  • 発売日: 2009/11/02
  • メディア: 単行本

電気自動車ウォーズ 日産・三菱・トヨタ・ホンダのエコカー戦略

電気自動車ウォーズ 日産・三菱・トヨタ・ホンダのエコカー戦略

  • 作者: 塚本 潔
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2010/03/05
  • メディア: 単行本


タグ:電気自動車
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 0