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水ビジネスで、日本は最強の資源国になれる。 [産業・企業]

 世界中で水不足が深刻化している。

  衛星写真で観る日本は、全周囲青々とした海にかこまれ、国土の3分の2を占める緑豊かな山林、あるいは台地から数え切れない多くの河川や湖を有している。最近では、猛暑や豪雨、豪雪などの異常気象で、日本の気候は温暖地帯から外れているという声もあるが、世界を見渡せば、きわめて温暖で、稀にみる「水に恵まれた国」である。

  しかし、それとは対照的に、地球上で緑の大地といわれた地域で、急速な砂漠化、乾燥化が進んでいる。大砂漠地域といえば有名なアフリカのサハラ砂漠、中国のタクラマカン砂漠、アメリカのソノラ砂漠、オーストラリアのグレートカンディ砂漠など思い浮かぶ。いずれも圧倒的な広さと過酷さを有し、草木が育つことも、生き物も寄り付くこともできない環境である。そんな乾燥地帯が各地で刻々と広がり、美しい緑の景色を消している。サハラ砂漠では年間150ヘクタールの土地が砂漠化し、中国では首都北京にまで乾燥地帯が迫っているという。大変な事態が起きるのに100年とかからなそうな勢いだ。

  この砂漠化の原因は地球温暖化の影響だけでなく、人為的な要因も大きいと考えられている。特に発展途上国における木材の伐採、放牧地や耕作地の拡大、あるいは乱開発は、緑豊かな自然を食い潰し、乾燥した土地へと変貌させている。これは発展途上国だけの責任ではなく、そういう状況に追い込んでいる先進国の責任でもある。いわば人類全体の責任なのだ。 こうした砂漠化、乾燥化の問題は、同時に「水」の問題を提起している。

 今、世界で最も深刻な問題は水不足といっていいだろう。 われわれ日本人は、水道をひねればタダ同然の価格で、おいしい水を得ることができる。そのためか、水がどれほど貴重なもので、大切なものかを、あまり深刻に考えていない。世界では水が得られず、死活問題に瀕している地域も数多くあるのだ。

  コンビニに行くと、ペットボトルの天然水やミネラルウォーターがずらり並んでいる。通常500ml入の天然水を購入すると約110円かかる。よく考えてみれば、ガソリン1リッターで140円。つまり、おいしい水は、ガソリンの約2倍の価格で売られているのだ。我々は、そんな認識を持っているだろうか。水と石油を同じ資源とみれば、アラブ産油国より、水が豊富にある日本の方が資源国家と言えるかもしれない。

  今、中国が日本の安い山林を買い漁っていると聞く。水ビジネスの為に資源地の利権を確保しているらしい。そんな強(したた)かな外国勢に、日本はこの恵まれた資源に指をくわえて観ているだけなのだろうか。政府や自治体は早急に対策をとらなければならない。 もうひとつ日本の水ビジネスに対する甘さがある。日本にはおいしい天然水が豊富にあるのにもかかわらず、ヨーロッパから大量のミネラルウォーターを輸入している。本来ならば100%国産で占めて良いはずなのに、なぜ遥か遠い国の水を運んでまで、売られているのか、その理由が解らない。ワインと違って味の違いは、さほどないはずだ。単に商売が下手なのか。

  そんな日本の水ビジネスの遅れに対して、民間でない東京都が独自の浄水技術で世界に水を売ろうという計画がある。大いに賛成である。日本の技術をこういう分野でこそ活かすべきだ。この水ビジネス、110兆円規模の市場があると言う。豊かな自然とあわせて、世界に水を売り込めば、産油国並みの富を潤えるかもしれない。

  環境ビジネスは太陽電池と燃料電池だけでない。これから日本の一番の強みを「水ビジネス」にすれば、最強の資源、技術の輸出国になれるかもしれない。

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