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NHKスペシャル「邪馬台国を掘る」 古代ロマンを楽しむ。 [文化・歴史・芸術]

 昨日、NHKスペシャル「邪馬台国を掘る」を観た。

 古代邪馬台国ファンにはワクワクさせる番組である。現在もその所在地を巡って九州説と近畿説の熱い論争が繰り広げられている。今回の番組では、佐賀県の吉野ヶ里遺跡と奈良県纏向遺跡に焦点が当てられ、その発掘品の1つ1つから、邪馬台国の存在の可能性をひもとく作業を、専門家たちの話を交えながらわかりやすく解説してくれた。

 邪馬台国といえば、3世紀に日本列島に存在された国で、中国の史書「魏志倭人伝」には、30ヶ国からなる連合国家に卑弥呼という女王が治めていたと記されている。この歴史的史実から様々な憶測が生まれ、邪馬台国の候補地は幾多にも及んでいる。学説的には低いが沖縄説もあるくらいだ。

 しかし、それもいい。古代を知ろうとするのは、宇宙と同じくらい未知とロマンの世界が広がる。

 謎の邪馬台国、その存在を立証する最大の手掛かりは中国(魏)との関係にある。倭国の中心国家であることは、当然魏と関係も緊密と考えられる。すなわち貢物の交換や文化的影響は非常に有力な条件であるのだ。

 魏との関係を示すものとして、吉野ヶ里遺跡では、多くの鉄器が出土された。当時の日本は銅文化が主体であり、一般的に鉄は使用されていない。特にここで発掘された鉄剣は当時の中国で使用されているものと同じもので、まさに特別な関係があったことが想像される。

 もう一方の纏向遺跡では、大量の桃の種が出土された。この発見は実に面白いものである。桃は中国で神聖な果実とされ、祭事の時に供えられるものだ。卑弥呼は鬼道により国を治めていると記されている。鬼道とは中国から伝わった宗教的儀式で、ここで発見された桃の種が祭事に供えられたものであるならば、大陸との関係は非常に濃厚となり、史実と一致する。

 また、もうひとつの面白い発見がある。銅鉾のかけらの一部である。なぜ、かけらなのか。その疑問に応えるべく、専門家が色々推論を立て、実証実験から1つの論拠を導き出した。

 それは、当時の弥生文化は作物の豊作を願うため、銅鉾を叩きながら祈る風習があった。しかし、大陸から鬼道による祈りが中心になり、その際、銅鉾を否定する思想が出てきたのではないかというものだ。そこで邪魔になった銅鉾を粉々に破壊したのではという推論である。

 実験で銅鉾を焼いて叩きつぶすと、発見されたかけらのように細かく砕け散った。その場面を観て思わず頷き、個人的には近畿説に傾いた。

 どちらも、それぞれそれぞれの説得性があり、また、ちょっと論拠不足の点もある。とにかく、決定的な証拠が発見されなければ、この決着はない。

 発掘する箇所はまだあるようだ。1つの発掘現場でもすごい労力、根気が必要であり、また何も得ることがない事も多そうだ。しかし、発掘を指揮している専門達はお互い確信を持ちながら研究、発掘を進めている。

 邪馬台国は日本のルーツであり、ルーツを知ることは現在の我々を知ることにもなる。邪馬台国とヤマト王朝の関係も明らかになれば、日本史が一変してしまうかもしれない。世紀の大発見になるかどうか、また、新しい進展と報告が楽しみである。

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曲学の徒

纒向より秋津遺跡ははるかに面白い

by 曲学の徒 (2011-03-04 13:06) 

toshi

巻向で発掘された桃の種は2560ケ程です。卑弥呼が毎日
1ケづつの桃に不老長寿を祈祷していたと仮定したら、
 365日×7年間=2555個です。
景初3年(239年)6月に魏に遣使し、一向が帰国したのが
240年として、年初から祈祷をしたとして7年間経ったとき、
247年ですよね。 この年は卑弥呼の没年でしょう。
不思議な数字だなあ、と私は考えています。
by toshi (2012-02-28 20:10) 

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