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NHK仕事への流儀、俳優高倉健の生き方と魅力 [哲学 思想 名言]

  9月8日NHKプロフェッショナル仕事への流儀で映画俳優高倉健さんが出演されていた。

  不器用で、寡黙、そして義理がたく、人情が厚い。孤高なイメージが強く、近寄りがたい感じがするが、本当の素顔は気さくで、おシャベリが大好きな普通の人柄であった。

  番組は、205本目の映画「あなたへ」の撮影現場を取材、刑務所の指導技官・倉島英二を演じる高倉健に迫った。この映画は、ただの一職員の男が、人とのふれあいを通じながら、亡き最愛の妻の思いに触れていくという心の描写が中心で、地味なストーリで構成されている。そんな繊細な役柄を、時間をかけながら、自分の心と向き合い、本物の主人を演じる、一瞬の演技に懸ける真剣さ、気迫はすごく、「一度きりに生きる」という彼の信条が重なっていた。

  健さんが言うには、芝居はその人の生き方がでる。つまり、日頃の自分を磨いていなければ、その一瞬さえ本物は出ないということらしい。厳しい世界で真剣に戦っているからこそ、そうした言葉が自然に出てくるのだろう。

  常に緊張感を持ち続ける人生は、疲れてしまうが、現在の日本は、あまりにゆるく、理屈っぽい世界になっている。政治の世界も言い訳だらけで、何を信じてよいかわからない。そんないま、高倉健のような真摯に生き方は、魅力的で、ひとつの憧れを感じる。

  番組が終わり、チャンネルを変えると、相変わらずお笑い番組で、みんながバカ笑いしている。ふざけた言葉を相手にぶつけて笑いをとっている。まったく正反対の世界が繰り広げられている。これが悪いとは言わない。けれども、本当にこれでいいのかと疑問を感じてならない。

  東日本大震災から1年半が過ぎた。いまだ復興も見えず、原発政策の方向性もはっきりしない。今の日本は、どこか真剣さが足りず、損得勘定ばかりで、大事な事はひとつも進でいない。健さんのような人生観は、現代社会ではとても古臭いものと敬遠されがちだが、そうした考え方や思想が日本の政治、仕事や生活に少しでも息づくけば、どこか力強い「本物」が生まれてくるような気がする。

  もう80歳を超え、高齢の域に入っておられるようだが、健康に気を付け、これからもまだまだ若い人たちに刺激を与え続けてほしい。


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