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「風立ちぬ」 巨匠宮崎駿監督に拍手! [文化・歴史・芸術]

  「風立ちぬ」、すぐに思い浮かぶのは80年代に流行った松田聖子の歌。

  宮崎駿監督の新作アニメ「風立ちぬ」で聞こえてくるテーマソングはさらに10年以上遡った荒井由美(松任谷由美)のひこうき雲。中高年以上の人にはちょっと懐かしく、いまの若者には不思議な新鮮さを感じることだろう。

  今回の映画は不思議な生き物たちが出てくる、これまでのジブリの独特な世界と異なり、堀越二郎という実在の飛行機好きの青年の生涯を堀辰雄の小説「風立ちぬ」を重ね合わせて描かれた物語である。大正から昭和の暗く重苦しい時代を戦闘機好きで、戦争嫌いな宮崎監督ならではの視点でリアルでファンタジーに美しい画面で仕上げている。絵そのものは芸術作品と言っていい。

  最近のアニメ製作はコンピュータグラフィック中心であり、映像表現は数倍可能性が広がったかもしれない。しかし、その計算尽くめで、無機質な画像はどうも違和感を感じる。あのディズニーでさえもデジタル映画製作に傾いており、昔の「白雪姫」や「ピノキオ」のような芸術性はあまりない。新しい技術やチャレンジを否定するわけではないが、何か大事なものを失っているような気がしてならない。多分、人の手のぬくもりかもしれない。

  宮崎映画にはアニメの職人集団がつくる繊細な高精度な技量がいっぱい詰まっている。その絵から彼らのプライドや尊厳が伝わってくる。単にストーリーだけでなく、絵のひとつひとつに思いが込められている。だから、この映画から心が揺さぶられ、強く響くのだ。

  5年ぶりの作品と聞くが、完成まで生みの苦しみが多々あったと想像する。しかし、日本にこのような映画があることは誇らしい。スタジオジブリに続き、もっと多くのアニメーター達も影響を受け頑張ってもらいたい。萌え系のアニメが席捲する現在は異常である。そこに大きな一石となることを切に願う。

  このような偉大な作品を制作してくれた宮崎駿監督に拍手を送りたい。


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