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赤字国債の話ばかりでなく、約1400兆円の個人金融資産をどう活かすか論じるべき。 [経済・財政]

米国債格下げ以降、世界経済は波乱が続いている。アメリカが主導しているドル紙幣を基軸とした経済システムに狂いが生じているようだ。

 最近、経済について、当たり前のことに疑問を感じ始めている。例えば、日本は現在約1400兆円の個人金融資産に、約900兆円公的債務があり、その結果、国民の一家庭当たり約1720万円の借金を抱えているという実態がある。バランスシート上、いつも財政破綻の危機が叫ばれている。

  この公的債務(赤字国債)の話ばかり注目されているが、別の視点で、いつも疑問に感じることがあるのだ。

  「そもそも、一つの国が1400兆円を超える巨額な資産を抱え込んで良いものであろうか。」 健全な経済システムは、世界中に至るところにお金が流通し、かつ適切に循環することが必須条件である。だが、その流れに対して、日本の保有資産は完全に逆らっている。

 日本人にとってこのお金は、一生懸命働いて蓄えたもので、文句言われる筋合いは何一つないと言い切るだろう。しかし、世界の国々はどう観ているのか。みんなの共有すべき財産(富)をひとり占めしている、そんな捉えられ方があるのではと思う。

 世界経済の全体を考えるならば、世界総GDPの10%以上のお金を滞らせていることは、やはり正常ではない。世界経済への影響もあるのように思えてならない。 (これは個人的推測)

 では、その巨額なお金を滞らせないためには、どうしたらよいのか。結局は以下の3つの方法に集約されると考える。

(イ) 国民の過度な貯蓄志向から、適度な消費志向に転換させる。

(ロ) 米国債等、他国の国債を買う。

(ハ) 国が国民に代わってお金を使う。すなわち、赤字国債の発行。

 本来、(イ)が最も好ましい姿と思うが、将来の不安が根強く、自己防衛のため、多額の貯蓄に走る人達が多い。従って、年金や医療制度の補償、また、現役世代では子育てや教育の安心できる社会基盤がなければ、思いきった消費活動はできない。現状の進まぬ政治では、なかなか実現は難しいだろう。

  (ロ)は主として米国債の購入があげられる。しかし、日本にとってリスクも大きい。為替や米国債の価値変動、あるいは、国債売却を自由に出来るかなども難しい問題だ。米国債を買っても、利子だけは受けられるものの、元本は寄付同然という結果も考えられる。あまり、良い選択肢ではないと考えた方が良い。(これは郵政民営化で問題になったこと)

  (ハ)は、現在の日本のやり方である。公共事業の無駄使いと将来の子供たちへの借金に対して、ほとんどの国民は怒っている。ただ、財務省は、単純に赤字国債はダメなのか、それとも、条件付きならばやるべき事なのか、もっと詳しく説明するべきだ。

 個人的には、この方法(ハ)しかないと考えるが、いままでのお金の使い方には非常に疑問を感じている。使うならば弱者に対する社会基盤の整備に、もっと重点を置くべきだったと考える。

  いずれにしても、金持ち日本の贅沢な悩みである。この1400兆円の巨額保有資産をどう扱うか、赤字国債の事ばかり論ずるのではなく、日本にとって真剣に考えなければならない課題だと考える。

  円が強く、膨大な保有資産があるという強みを最大限発揮できれば、デフレ脱却、日本経済再生の道は開けるものと考える。少なくとも、66年前の敗戦直後からは考えられないくらい恵まれた状況だ。それを決して無駄にはしてほしくないものだ。


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