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世界中の通貨が暴落。なぜ、日本の円だけが高い。 [経済・財政]

 ドル、ポンド、ユーロなどの主要通貨が下落している。

 ただ、日本の円だけが強い。不思議である。

 言うまでもなく、日本の公的債務残高は対GDPの2倍(900兆)であり、危機的な財政状況である。そんな不安定なはずの日本の円を、世界中の投資家たちが最も安心できる通貨として買っている。

 今回のロンドン暴動も、原因はやはり経済不安だ。世界金融危機以降、ポンドの価値は大きく暴落し、失業率の増大も重なり、庶民の生活は極めて厳しい状況に陥っている。だが、国家財政から観れば、イギリスの公債債務残高は対GDPの7割、英国債の格付けはトリプルA、日本と比較すると遥かに健全である。そうなると通貨の価値というものは、国の借金や国債の格付で決まるものではなさそうだ。

 では、何で決まるのか。専門家たちは「日本円の強さは、まわりの通貨が弱いから、相対的に上昇しているだけ」と、簡単に言う。しかし、それでは実態がつかみにくい。

 最大の原因は、度重なる不況対策に紙幣を刷り過ぎ、その供給過剰が通貨価値の下落をもたらした構図と考える。金融政策という聞こえの良い言葉の実態は、単なる通貨のバラマキで、とても高度な経済政策と言えるものではなかったのではないか。

 思えば数年前、日本がずっと不況に苦しんでいた頃、欧米では妙に好景気が循環していた。その時、日本の経済学者や評論家たちが、日銀に対して痛烈な批判をしていた記憶がある。特に日銀総裁を無能、犯罪者扱いにしていたが、今となっては、安易に紙幣を造刷しなかった日銀の判断は正しかったように思える。通貨と国債の暴落は国家の存亡に関わる危機である。日銀の舵取りは極めて慎重であってほしい。

 ただ、あまりにも円が強過ぎても、輸出産業のダメージが大きいため、出来れば程々の強さが良い。また、円が強く、安定していても、国全体の経済が疲弊していては意味がない。

 経済活性化をどうするか、これまでと同じように通貨安定政策を取り続けても、経済が一向に好転しないのは、過去20年で実証済みだ。結局、政治がやることを、やらなければ解決できない。

 老後、子育て、教育に安心できる社会基盤を整備し、安心してお金を使えるような環境をつくることが、日本経済の一番の活性化につながる。わかっているが、進まないのが政治の世界である。 


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