SSブログ

今年は水難の年だ。 [環境・自然]

 昨日も豪雨が新潟、福島を襲った。1時間あたり100mmを超えているという。

 ひと昔は時間50mm以上の雨を集中豪雨と呼んでいたが、いまでは集中という言葉が消えて「豪雨」になっている。最近では集中した地域、集中した時間というのも当てはまらない。範囲は広く、いつまでも降り続く。1日の降雨量が1000mm(1メートル)を越す話も珍しくない。

 当然、川の氾濫や土砂崩れを伴い、家屋などの甚大な被害は目を覆うばかりだ。自分の記憶では、昔は台風が来ない限り、このような水の被害はなかったように思える。いまは、どちらかというと台風以外の気象状況からくる豪雨の方が猛威がある。年々大気にエネルギーが蓄積されてきているようだ。これが温暖化現象の表れなのか。

 しかし、今年の日本は水難の年である。地震による津波、豪雨による川の氾濫。水に囲まれ、水が豊富にあるがゆえに起きる自然災害だ。

 近年、都市土木の技術が進歩して、現代人は自然に対する畏敬の念を忘れつつある。まるで、自然を自分たちの意のままに封じ込め、それで安全が確保できていると思っているかのようだ。

 先の津波で何の役にも立たなかったスーパー堤防もその一つ。ダムも川の治水も想定を超える豪雨の前にはほとんど無力な状況である。 いま、地方に被害が集中しているが、本当に無防備なのは都会である。

 川沿いにはマンションが立ち並び、斜面は切り刻んで宅地が造成されている。本来、雨水を吸収すべき大地はほとんどアスファルトに覆われて、溢れた水は行き場を失っている。かつ、土地利用の面で東京中の地下は掘り続けられ、地下商業施設や日常の交通インフラの重要な役割を果たしている地下鉄など、ひとたび水害にあったらどうなるのか。想像の域を超えてしまう。

 まだ、本格的な都市水害の被害は無いが、いずれ必ずやって来る。起こる前はどうして良いか分らず、物事が経済優先で進む。しかし、起こってからではすべてが遅い。

 自然を抑え込むのではなく、自然との共存。それは自然の脅威を認識し、それを受け入れる考えが必要だ。だから、津波や川の氾濫はあって当たり前なのだ。それを否定した都市づくりは、先の福島原発事故の二の舞を招く。国土の狭い日本、現実的には難しいが、この難題を真摯に直面しなければならないだろう。

 昔から、人の住まないところは、新たに住むべきでないという話がある。地名を観ると、沢、谷、淵、沼、浦など水に関わる名称がつく場所は、やはり水の危険の隣り合わせにあることが多い。やはり、居住する時にそうしたことも注意することも、自分で自分を守る一つの目安だ。

 国による防災対策はもちろん重要であるが、それ以前に、ひとりひとりの防災に対する自覚も、国全体の防災意識を大きく左右させるだろう。そうした社会になっていかなければならない。


タグ:水難 豪雨
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント