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宇宙航空研究開発機構(JAXA)の特別公開。難しいが面白い。 [教育・科学・技術]

 7月終わりに宇宙航空研究開発機構JAXAの相模原キャンパス(宇宙科学研究所)で年一回の特別公開が行われる。この見学会は我が家の毎年の恒例行事である。

 昨年は、はやぶさの奇跡の帰還直後とあって、すごい人混みであったが、今年はやや落ち着いて、ゆっくり展示を楽しむことができた。

 建物1号館に入り、まず目にするのは、はやぶさの実物大の模型。あの奇跡に大きく貢献したイオン推進エンジンの説明の前は、大勢の人だかりだ。私の興味は、もちろん、はやぶさが持ち帰った小惑星イトカワの微粒子。どんな分析結果が出たのか、今回の楽しみの一つであった。

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(はやぶさの実物大モデル、イオンエンジンの説明)

 微粒子について、研究員の説明では、まだ初期分析の段階らしい。まず、持ち帰った微粒子が宇宙のものか、地球上のものか。その中には明らかに地上にはありえない粒子が含まれていたという。そのポイントとなるのが、その粒子に含有されている鉱物(かんらん石、輝石、斜長石、硫化鉄など)。地球上にもある物質であるが、そうした密度の高い物質の構成比率は地球の地下深くのマントルにあるもので、地表では極めて考えにくいものだという。さらにその微粒子をガンマ線で切断して詳細分析するらしい。惑星や宇宙誕生の謎に向けて、今後の研究が楽しみである。

 1号館の1階はその他、世界初の宇宙ヨットの「イカロス」の紹介。宇宙で20mの大きな帆を広げ、太陽光の力で航行するといった新しい発想で開発された実証実験機。研究員の方によると、得られた成果は120%。ただ、帆を広げる際のわずかな膜のねじれやゆがみが、衛星の体勢を維持するのに苦労したとの話が印象的であった。

 2階に上がると、ここは電波、赤外線、X線天文学のコーナーで、最先端のハイテク技術を駆使した研究が紹介されていた。ここは専門性が高く、高度な解析技術で、どこまで宇宙の神秘を探ることができるかを追及しているようだ。理論的には証明されているブラックホール、実際の観測解析画像なども展示されており、最先端の研究に挑んでいる姿がうかがえた。

 中庭では、探査ロボットが動いており、子供たちが興味シンシンで観ている。質問コーナーで、男の子と研究員とのやりとりが面白かった。質問では「このロボットは倒れるとどうなるのですか」と聞くと、研究員が、笑いながらバツの悪そうな顔で「良い質問ですね。このロボットは倒れたままで、誰かが直さないと元に戻れません・・・。自分で立ち直れるロボットも作っていかなければなりませんね。」と答えていた。たぶん、もっと予算があれば、すごいロボットも作れる技術はあるけど、事業仕分けでバッサリ削られているのだろう。

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(探査ロボットの実演、ちょっと単調な動きだ)

 今回の見学で特に興味を持ったのが、「れいめいプロジェクト」。多大な開発費、打上げ費用がかかる大きな衛星でなく、短期間で低コストで、大きな仕事ができる「小さな衛星」の開発。この衛星はメーカー任せでなく、若手技術者が中心になり造ったもので、科学技術者の育成も兼ねているという。

 このプロジェクトの責任者らしき方とお話し、驚いたのが、この衛星は日本の種子島からではなく、カザフスタンの砂漠から、旧ソ連のミサイルに搭載して打ち上げたという。米ソの核軍縮協定の中の旧ソ連の核ミサイル廃棄削減をするため、平和利用を目的にそのミサイルロケットを活用したそうだ。もちろん、コスト低減も大きな要因であろうが、平和国日本ではミサイルで衛星を打ち上げるなんて考えもつかないことだ。

 現在、その衛星は地球を1日2周廻り、太陽から発する電子量などを観測して、オーロラ現象の研究等行っているらしい。予算のかかる大がかりなプロジェクトばかりでなく、こうした汎用的で質の高いプロジェクトも、今後、国として力を入れていく必要性を感じた。

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(れいめいプロジェクト、小型衛星のモデル)

今回も、なかなか勉強になった1日であった。


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