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TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、米国の罠が仕組まれていそうだ。 [外交・防衛・海外]

 経済のグローバル化がもてはやされた時代もあったが、リマーンショック以降、その言葉は条件反射的に警戒するものとなった。

  これまで米国が世界中の金融を意のままに動かしていた。国家信用のある米国が国債や債権を発行すれば、世界中の国々がそれを買ってくれ、それで入ってきたお金で海外から物を買い漁る。そんな図式で、米国経済は活性化していた。ところが、サブプライムローン事件で、その歯車は大きく狂い、打ちでの小槌のように、振れば湧き出るお金が無くなった。アメリカも普通の国と同じように真面目に物を作って、海外に売らなければ、経済がどんどん沈んでいく。超大国の面影はいまは無くなりつつある。

  それにしても、最近の米国の財政赤字はひどいの一言だ。景気を回復させ、税収を上げなければ危機的状況が続く。それを立ち直らせるべく、オバマ大統領が5年間で輸出を2倍にする政策を打ち出している。 ただ、それを実現させるためには、何か仕掛けが必要だ。

 その1つに、TPP(環太平洋戦略的経済連係協定)があるようだ。 TPPとは広い太平洋周辺の地域でお互い関税のない自由貿易圏を作ろうという構想である。菅政権もこれに積極的な参加を表明し、新聞などでもTPPに今すぐにも加入しなければ、日本は自由経済から取り残され、国益を大きく損ねてしまうという、いわばTPP賛成論調が目立った。しかし、海外への輸出産業の促進とは裏腹に、これまで過保護状態に温存されていた日本の農業が心配である。もし関税が撤廃されれば、防波堤が決壊するがごとく、アメリカやオーストラリアなどの安い農産物や乳製品に押しつぶされ、壊滅的打撃を受けるのが容易に想像される。

  一方、農業保護に対しても厳しい見方もある。米の関税が778%、小麦が250%、これを聞くと一般の人でも、ちょっと考えが変わる。数字を見る限りでは超過保護と言うほかない。そこまでしなければ農業、あるいは農家を守れないのか。日本の農業の国際競争力の低さに嘆いてしまう。しかし、そうは言っても、食料は日本の安全保障に通じるものである。守るべきものは守らなければならない。

 いま、アメリカが虎視眈々と狙っているのは、日本の巨大な内需であり、その中で、最も魅力的な市場が食需要だ。恐らく、徹底的に攻撃を仕掛けてくるだろう。

 いまでもドル安(円高)になれば、スーパーマーケットなどは円高還元セールが始まる。もし、関税が撤廃されれば、小売業は大々特価をやり続け、さらにドル安を促進されば、もう日本の国産品は太刀打ちできない状況に追い詰められる。国内農業が壊滅した後に、アメリカの得意な為替操作を仕掛けてドル高になったらどうなるか。考えただけでもゾッとするシナリオだ。

  そう考えると、TPPは原発問題と同様に国家の将来を左右させる大きな問題である。どんなメリット、デメリットがあるのか、また、アメリカの思惑をしっかり研究する必要もあろう。もっと国会で議論を深め、本当の国益を睨みつつ戦略的に舵を取ってもらいたい。


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