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福島原発事故から3カ月。これからがみんなの試練だ。 [環境・自然]

東日本大震災から3カ月が過ぎた。

 映像で観る被災地の姿は、震災直後からあまり変わっていない。不明者の確認も進まず、助かった人達も、家族や住居、そして仕事を失い、深い心の傷と苦しい生活から、いまだ開放されていない。

 福島原発事故も日を追うごとに、状況は不気味に推移している。当初は原発事故の国際評価尺度「レベル6」で、米国のスリースマイル(レベル5)より重いが、旧ソ連のチェルノブイリの最悪の「レベル7」まで至っていなく、核燃料棒さえ冷やせば何とかなる雰囲気で報じられてきた。しかし、実際は「レベル7」まで引き上げられ、いまではメトルダウンではなく、どうやらメトルスルーが起きているという事らしい。つまり、核燃料棒は完全溶けて塊になっているようだ。

 これ以上の事態は軽々に口に出してはいけないのだろうが、最悪の再臨界に触れなくてはならない時期に差し掛かっている気がする。そうなれば「東日本に人が住めなくなる」という誰かの発言も現実味を帯び、非常にやばい。

 いま、様々な地域で自治体や企業、個人などが放射能値を調べている。福島周辺ばかり心配していたが、関東地方でも数値が結構高いようだ。テレビの報道番組で、記憶では千葉県か栃木県だったと思うが、測定器を個人的に手に入れた主婦が、住まい周辺をあちらこちら計測した結果、こどもを安心して遊ばせるところが、どこにもないという話をしていた。目に見えるものでなく、また直ぐに病状がでるものでないのでピンとこないが、非常に恐ろしい事が目前に迫っているようだ。

 考えてみれば、数百キロ離れた中国の黄砂が日本に飛んでくるぐらいであるから、それより軽い汚染物資が日本全国に広がることは十分考えられる。今現在、原発から新たな汚染物質が排出されていなければよいが、そうでなければ汚染濃度は高くなる一方で、本当に危機的状況である。

 また、原発の汚染水問題も非常に深刻である。核燃料棒を冷やす為に注がれた水は高濃度汚染水となり、オーバーフローしそうな状況にある。現在、高濃度汚染水からゼオライト等で放射性物質を除去して、低濃度汚染の循環水にして再使用する試みが始まっている。だが、これも苦肉の策で、当然新たな汚染廃棄物が排出される。これをどこに処分するのか。でも、今はそんなことも言っていられなさそうだ。

 さらに建物に溜まった汚染水が地下に流出していないかも不安である。地震でひびが入り、そこから地下水脈を通じて広がるとどうなるのか。温泉水から放射性物質が検出されたら、もう東北の温泉は全滅である。そうならないことを願う。

 そんな状況の中、まだ日本のエネルギー政策が喧々諤々である。電力需要量から原子力発電を止めることは考えられないようだ。

 たぶん、いま一番日本で原子力発電を止めたがっている人達は、発電所付近の住民よりも、むしろ東京電力の社員ではないだろうか。東電社員であるがゆえに、世間から厳しい批判に晒され、会社もどうなるかわからない、当然給料やボーナスは激減であろう。さらに放射能の高い現場にだって行かされる可能性もある。何ひとつ良いことがない。

 東電としては、別に電力が足りなくなっても、会社として困ることはない。ただ電力需要者の要求に応えているだけで、いままでは、その要求を公的使命で合わせ続けてきたような感じがする。それなりのソロバンがあったかもしれないが、住民反対の多い原発をここまで増やしたのもかなり無理がある。

 そろそろ、それも分岐点だ。これから猛暑の夏が来る。これからは電力需要者が限りあるエネルギーに合わせなければならない。これまでにないチャレンジが要求される。

 この3カ月、何も進展していないような気がするが、実際はこれからだ。この震災、原発事故を、どれだけの多くの人たちが深刻に受け止め、また、その反省とこれからの日本の未来をどれだけ力強く描けるか、その試練がもう目の前に来ている。


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