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普天間基地の行方は、どうなるか。 [外交・防衛・海外]

 仲井知事が当選し、これから沖縄普天間基地の問題はどのように展開していくか。相変わらず、世間は政府の批判ばかり繰り返している。確かに、その内容にうなづけるものは多いが、この問題は複雑で簡単には答えが出ものではない。戦後65年の累積した難題が、この基地問題に凝縮されている。また、激しく動く国際社会の中で、どのように国の安全を確保し、発展しつづけられるか、その試金石になろう。

  そこで、もう一度、この問題の複雑さ、難しさを整理してみたいと思う。まず、米軍基地の必要性について、YES、NOの議論が分かれる。但し、YESの考えを持つものにも次のような考え方があるだろう。

 ① アメリカの軍事的抑止力は絶対必要である。在駐米軍がいなくなれば、その抑止力も低下し、特に北朝鮮、あるいは中国の侵略に対する防御に不安がある。

② 米軍が撤退した後は、当然、それを補うべき防御体制が必要である。現憲法下では自衛隊防衛による防衛に限界があり、かつ憲法改正の必要性もある。いずれも、日米安保を国の防衛の基本に置き、それが最大限有効に発揮できる体制を望んでおり、なるべく日本は軍事に関わらない方がよいという考え方が根底にあると思う。

 次にNO、必要ないと考える理由について

 ① 少数であるが、武力がなくても、外交を上手くやれば、平和は保てるという考え。

 ② 国防のことよりも、基地の存在(治安の悪さ、騒音、物騒な存在)にアレルギーを示す考え

  これは、国防を殆ど視野に入れておらず、現状の社会問題として捉えている傾向がある。判断の軸が完全にずれてしまい、議論が混沌とする。 しかし、この問題は無視できないのも事実である。 次に沖縄について考えてみたい。米軍基地は果たして沖縄でなければいけないのか。これは日本、これも本土と沖縄、それからアメリカの3つ立場、視点で観えてくる世界が違ってくる。また、それぞれが合意できなければ、この問題の解決は成り立たない。

 まず、本土の視点で観た場合、たぶん、沖縄にはこだわらないが、自分達のそばにこない事が大前提になるだろう。 これは沖縄住民と同じ感情である。本土には人がいない地域はない。また、基地の分散案もあるようだが、これもアメリカの軍事計画上困難であろう。また、アメリカは日米同盟で日本を守ることだけを考えているわけではない。

 沖縄の立地条件を見れば、東南アジアあるいは中東を含めた西アジアまで睨んでいるだろうから、そうなれば、単純には話がまとまらない。 ひととき、グアム等国外に完全移転の案もあったが、日本から米軍が撤退することを意味し、戦力的な抑止力が大幅に低下するのは間違いない。これは日本国民全体が望む方向ではなく、かつ、アメリカの軍事戦略を無視した案であったような気がする。

 いま辺ノ古案実施に伴い8000人の海兵隊が移ることでも、軍事的抑止力の低下を不安視する人達もおり、それに替わる日本の国防をしっかり考えて進めなければならない。したがって、単に沖縄から基地を無くすことだけに焦点をあてた議論は的外れで、国益を考えると危険なことである。

  しかしながら、沖縄住民の視点は非常に複雑である。まずは「国防としての基地」と「社会問題の基地」を分けて考えなければならない。なぜ、沖縄だけが、日本の安全の負担を一身に受けなければならないのかと当然の疑問だ。とにかく、危険で、騒音はうるさく、治安も悪い。毎日の暮らしに支障がでている。だから、国外か県外にしてほしいという主張は当然の事である。

  結局、この問題は立場によって、主張がかわり、いくら議論をしてもグルグル廻りつづける。結論を求めるには、その中のどこで止めるかである。政治的決着となれば、いちばん騒ぎが小さいところであろう。そう考えると、沖縄県普天間基地の機能を辺ノ古に移す事が一番、現実的のように思える。

 では、本当にこれでいいのか。でも、沖縄の人達はそれを簡単に認めることは無さそうだ。 そうなると、また、議論をグルグル回る。そのうち、アメリカが怒って、普天間基地は現状のままで落ち着くのではないか。その可能性も否定できない。

  結局、すべてを満足させる答えなど無いのだ。選挙目当てで、政策を立てているから、こんな状況が続くのだろう。もういい加減に、こうした政治から脱却してもらいたいんものだ。

国防の論点―日本人が知らない本当の国家危機

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タグ:普天間基地
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