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名言に「変化はチャンスの源泉」とあるが、円高はチャンスか。 [経済・財政]

 この夏、猛暑と円高のダブルパンチで、日本はすっかり疲弊している。

 長期にわたる猛暑は経済にプラスマイナス大きく影響を与えた。、エアコンや清涼飲料水など予想を超える需要でホクホクであろうが、暑さと乾燥で農業をはじめ、大打撃を受けた企業や個人事業者などの方がはるかに多そうだ。まあ、大自然の猛威には逆らえなし、多少のあきらめもある。

 しかし、円高はそうはいかない。これまで90円台で推移していた円レートが一気に80円前半まで買われた。急激な円高は、輸出企業にとって深刻な問題である。1円の円高でさえ苦労して得た利益がただ空しく消えていく。一方輸入業者は逆のパターンであるからメリットの方が高い。全体を見ればプラスもあり、マイナスありで良さそうであるが、自分の責任でないところで損をするとなれば穏やかにはなれない。しかも日本は今でも製造業中心の輸出経済である。むしろ円安を望む声の方が大きくなるのは当然かもしれない。

 政治に要求されることは、円レートの安定である。つまり円の変動がなければ為替での損得が生じなくなり、安定的な経済活動ができる。確かに、為替の安定は望まれるが、多少の変化も必要である。政府や日銀の絶妙な政策で1円たりとも為替が変動しなかったら、経済は活発化し、景気は良好になるかと言えば、必ずしもそうなるとは限らない。おそらく企業の体質は温室の中で弱体化し、世界の中で競争力が低下してしまうのではないかと推測する。強い競争力と変化への適応力は、やはり厳しい環境で育まれる。

 ただ企業は利益第一であるから、厳しい円高をかわす為には、工場の海外移転の選択も余儀なくされる。それでは企業の業績が幾ら好調でも、国内で雇用の創出がなければ、日本にとってメリットが低い。前回の円高騒動では110円台から90円台まで一気に変化し、各業界が壊滅的と言われたが、最も心配された自動車業界も現在利益を出している。血の出るような努力でその成果を得られたと思うが、それによって企業の体質はさらに強化されているように思える。

 今後、日銀と政府は何をするべきか。まずは、お互い歩調を合わせ、景気対策も含め、為替相場の安定に努めることは重要である。しかし、それだけでは十分とはいえない。企業がそうした状況に迅速に対応できるような環境整備、また弱体化した企業にはフォローする体制など、全体的に円高対応できるしくみが必要だろう。また、輸出中心の企業もドル建だけでなく、円建てやユーロなどで取引する体制づくり、あるいは円高を利用してM&Aを行うなど、為替変動を利用してビジネスに結び付けていく仕組みづくりも求められているのではないだろうか。

 1990年代の最も優秀な経営者として世界の称賛を浴びているジャック・ウェルチ米ゼネラル・エレクトリック(GE)会長が「変化はチャンスの源泉」と唱えていた。変化に対しては色々備えは必要である。しかし、それだけでなく前向きに捉えればもっと別の世界も見えてくるのではないか。この厳しい円高の変動もチャンス到来として見れれば、きっと新しい展開もあるはずだ。そうすれば、日本の経済も元気がでそうだし、また、そうありたい。
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