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たけしのコマンドール勲章、笑いと芸術の融合はすばらしい偉業だ。 [文化・歴史・芸術]

 数日前、ビートたけし、いや北野武がまたも信じられない勲章を受賞した。世界的に権威のあるフランスのコマンドール章だ。日本人でも数人しか受賞していない、ものすごい快挙である。

 考えてみるとこれまでたけしはただのお笑い番組で人を笑わせるだけでなく、「たけしの平成教育委員会」、「たけしの本当に怖い家庭の医学」、「たけしのテレビタックル」などの教育、医学や難しい政治の話を彼独特の切り口で笑いを交えながら一般庶民にも楽しめる世界を作り上げている。ひょっとしたら文化的な大偉業をさりげなくやっているのかもしれない。

 また、彼の映画は一味違うものがある。シリアスと笑い、そしてハッとするような映像。よく観れば絵画になる画面がいくつもでてくる。今は亡き映画評論家の淀川長春さんもその芸術性に賞賛していたし、あの黒澤明監督もたけしの映画を「僕は結構好きなんだよ。」と言っていた。興行成績はパッとせず一般人には殆どウケていないが、観る人が観ればその才能はわかるようだ。

 しかし、フランスをはじめヨーロッパでの「たけし人気」はすごい。贔屓(ひいき)なしの海外で評価されるのは、おそらく本物なのだろう。それに引き換え、日本では相変わらずいまいちの評価で賞をとっても殆どの人はピンと来ていない。オリンピックで金メダルを取ったら号外が出て、大騒ぎになるのに大々的に取り上げたのはスポーツ新聞くらいだ。日本ではまじめにコツコツ、苦労、努力している姿がなければ、決して賞賛されない。たけしもそうした努力もしているだろうが、おバカな事ばかりしているから、褒めたくても褒められないのかもしれない。

 きっと、今の日本ではそうした才能を持っている若者、あるいは子供たちの中にも優等生でないため褒められたり、評価されず埋もれてしまっている者も数多くいるような気がする。まあ、日本人はいつのまにか常識だらけの優等生になって、逆に本質を見抜く力が退化してきたのではないだろうか。

 たけしが受賞記者会見でのセリフであるが、「次は1日も早く日本の文化勲章をもらって人間国宝になること。その後、無銭飲食で捕まるのが夢」。たけし流の日本人離れしたジョークだ。頭が常識でガチガチになっていたら、こんな言葉は出てこない。でも、高い常識と教養があってこそ、あのようなおバカな言葉がでてくるのだ。

 まだ、アキレスと亀の映画を見ていないせいか、無性に気になって仕方がない。今、カルティエ財団美術館で開催している「たけしの絵描き小僧展」を観に来たフランス人女性が「芸術を観に来て笑えるなんてすばらしいことだわ。」と言っていた。たしかに、20世紀に難しくなりきった芸術を、もう一度庶民にも気軽に楽しめる位置に引き戻してくれてるのかもしれない。そんな偉業をフランス人は見逃さなかったのだろう。やはり、フランスは文化先進国だ。
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