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日本人は希少資源のマグロを食いすぎだ! [社会・生活]

 大西洋クロマグロの国際取引を禁止するワシントン条約の採決がドーハで行われ、反対多数で否決された。もうクロマグロの刺身は食べられなくなると思っていた日本にとってホッとする結果であった。

 しかし、これで決着がついたとは言い切れない。

  世界自然保護基金は、大西洋・地中海では産卵能力のある親魚が2012年にはほとんどいなくなると警告し、ICCATの科学委員会も、国際取引の開始に伴い、親魚が初期資源の15%に減少すると報告している。 いくら日本が、計画的な漁業で絶滅の危機にはないと主張しても、実際乱獲が行われているのは事実である。しかも、買取先の殆どが日本だ。国際的にも厳しい視線が注がれるのは当然なことである。

 今回、反対した国々は、必ずしも日本の主張に賛成した訳でない。それらの国にも日本と同じような事情もあり、ワシントン条約でこうした先例をつくることに異議を唱えたためだ。自然保護や環境保護の重要性は理解しても、実際は自国の経済が最優先になるのが現状である。昨年、地球温暖化問題の国際会議で、CO2削減の目標値が採択できなかったのと同じことであろう。

 ところで、日本では、このクロマグロ問題をどのように報じているのか。
テレビのニュースでは、どの局でも築地市場の関係者や寿司屋さんのほっとした様子を映し、とりあえずは、今後も安心して安くておいしいマグロが食べらそうだと伝えている。欧米のように本気でマグロの絶滅を心配するような報道はなく、あまり反省も感じられない。自分たちの事しか考えていなく、本当にこれでいいのだろうか。

 そもそも、昔はマグロなんて、滅多に食べられるものではなかった。寿司や刺身なんて、一般家庭では超贅沢料理で、マグロのトロなんて大人しか食べられなかったものだ。いまでは、スーパー、コンビニでも手軽に手ごろな値段で買え、普通の食材の感覚で手に入れることができる。おそらく、これだけ大量の消費食材になれば、賞味期限切れや食べ残しなども相当な量であろう。世界中で日本ほど食物を捨てる国はないと言われている。この希少資源になりつつあるクロマグロもそんな扱われ方をしているならば、考え直さなければならない。

 経済優先の日本の社会は食文化まで歪めている。日本の食料自給率が低いと言われているが、実際は捨てる分が多いから、相対的に低くなるのかもしれない。昔の日本人は、食べ物を決して粗末にせず、飯粒一粒でも残してはいけないと言われていた。いまでは、メタボ対策や健康の面で、野菜は食べても、肉やご飯は残したほうが良いと言う人もいる。「飽食」、「食べ残し」、今の日本人の食生活、それを正さなければこの問題は変わらない。

 とにかく、マグロは食べすぎている。マグロは日本人だけのものではない。いずれ中国人が食べつくしてしまうという意見もあるが、その前に日本が国際社会の中で秩序ある行動を取り、逆に、みんなが自国のエゴに走らないようにしなければならない。そうした秩序、戒めを守ることが、それが乱獲を防ぎ、日本人が今後もマグロを食べ続けられる道ではないだろうか。まずは、安易な食べ過ぎに反省すべきであろう。


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