SSブログ

国のビジョンづくりに大学を活用し、もっと若い世代と取り組むべき。 [教育・科学・技術]

 国家戦略室が縮小され、首相のシンクタンク機関になるらしい。

 民主党政権発足時は、行政刷新室と並んで、国のあり方を変える大きな機動力になることが期待されていたが、行政刷新会議のような派手なパフォーマンスもなく、この数ヶ月間の実績がよくわからないまま萎んでしまった感じだ。税金や年金、さらに外交といった大きなテーマを真剣に取り組むと思っていたが、普天間基地問題をはじめ、とても国家戦略と言えるような仕事をやってきたとは考えられない。とにかく、この国はビジョンづくりがいつまでたってもヘタで、戦略的シミュレーションが全然できていない。アメリカやドイツ、中国などはしたたかに、しっかりと進めているような気がする。

 そもそも国家のビジョンづくりは政治家や官僚だけに任せていいのだろうか。基本的に国民の政治参加とは1票を投じるだけで、あとは選ばれた政治家、政党にお任せになっている。もっと、国民全体が政策に加わわれる仕組みがあってもいいのではないか。

 そこで、1つのアイデアであるが、大学(研究機関)をもっと日本の政治のために使えるのではないだろうか。
政策決定において、一番重要なことは、現状の実態分析が、いかに正確に捉えて信用できる内容かである。これまでの調査報告書は、殆ど官僚が大手シンクタンクに丸投げした産物で、そこには色々な政治的思惑や財界からの要求等の入り、玉石混淆なものに変質している。いままでも空港や高速道路建設時の利用者の予測調査などで、実際とはかけ離れたいい加減なデータがつくられていたり、CO2削減の調査のように、自民党と民主党が示すものでは同じ調査とは思えない程の開きがあった。基本的に公正さや真実性が欠けている。こうした調査データをベースにして、政治を進めていけば明らかに間違った方向に走ってしまう。

 そこで、国家戦略局のような機関と学術部門(大学、大学院)がタイアップすることで、よりオープンに、また多くの優秀な人材、そして、これからの日本を担う若い世代を活用することができる。

 大学は単に若者の教育機関だけではない。本当の姿はあらゆる課題を高い専門性によって研究する機関であろう。その研究機関としての大学を、国の政治(国のあり方)に最大限活用することこそ、本来のあるべき姿ではないか。

 大学、大学院のよいところは、人件費が安く、どんな面倒で複雑な調査でも人海戦術できる体制がある。また、様々な学部、学科もあり、1つのテーマでも多角的に調査分析でき、上手くやれば少額の予算で質と量共に高いレベルの調査分析も可能である。
 
 また、大学の教授陣が国家戦略局の方向性を鑑み、且つ各研究テーマとの連係して進めれば、シンクタンク並み、或いはそれ以上の成果も期待できる。優秀な人材を抱える大学が、世界的に評価の低くかったのは、明確な方向性が無い為に、頭脳のエネルギーが放散しているからだ。研究もやはり選択と集中である。

 もう一つのメリットは、若者が社会に対して問題意識を持ち、政治を身近にさせること。
最近、世の中に関心を持てず、社会から孤立している若者が多い。彼らにとって政治は、自分達の生活とは無縁で、実感のない存在である。また、大学の研究テーマ(卒論等)も、ただ漠然と選定し、興味を持てないまま、卒業するの為の手段として、時間が費やされている。とにかく、若者は漠然とした世界に彷徨っているのだ。ところが、その研究テーマが、世の中との位置付けがはっきりし、また、どう役に立つのか明確になれば、取組み方も違うのではないか。たとえ研究内容が厳しくても、やり甲斐さえ感じるはずだ。

 さらに研究テーマをもっとブレークダウンして、高校、中学、小学校の教材に使えれば、もっと面白い。子供の頃から、社会に対して問題意識を持てるチャンスがつくれる。道徳も倫理も、ただ子供に頭から教えるだけでは馬に念仏だ。社会に対する問題意識があって、初めてその意味がわかる。このような仕組みを作れば、子供から大人までの意識改革、また、公的な考え方も進行し、助け合える社会づくりの基盤になっていくと考える。政治の参加は選挙権だけでなく、こうした全員参加型の仕組みづくりも面白いのではないだろうか。

 政治はシラケきった大人達よりも、次の時代を担う若者に任せた方が、良い解決案を見いだせるかもしれない。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント