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不況の時こそ、弱者が頼れる労働派遣法改正に! [医療・厚生・食品]

 リーマンショックから1年。景気後退の回復はまだまだ鈍く、雇用は相変わらず厳しい状況が続く。早急な対策が必要だ。特に問題なのは、「派遣切り」。働いている本人からすれば「解雇」であるが、企業としては契約を履行しただけである。労働派遣法の真意は、労働者個人の為のものでなく、企業が不利にならないように配慮された法律なのだ。

 しかし、「人材派遣」がすべて悪かと言えば、そうではない。働く側にもメリットはある。例えば、「仕事を自由に選べる。」「残業がない。休日がとれる。」「大手企業でも働くチャンスがある。」また、企業にも、「ほしい人材を必要な期間に使うことができる。」「優れた人材をピンポイントで配置することができる。」等あげられ、むしろ、現在のようなライフスタイルや生き方など多様化された社会には、逆にフィットするシステムと考えられる。また、企業にとっても、短期的なサイクルで経営計画を立てることができるため、正規雇用で縛られることと比較すると非常に都合の良いものである。
 
 実際、企業派遣システムは急速に広がり、新聞の求人欄を見ても派遣会社だらけだ。聞いた話だが、ある建設現場の打合せで、建設会社の主任、電気工事や空調設備の工事主任のすべてが派遣社員だったとか。さらに、下請けや末端で働く職人達にも派遣で成り立っていたらどうなるのか。恐ろしい世の中である。だが、こうした「派遣」で上手くいくのは、経済が良好な時だけで、これが不景気になると状況は一機に反転する。労働者にとって一番命綱となる契約期間は、企業の一方的理由で合法的に解除できるのだ。これが昨年暮れから巻き起こった「派遣切り」の嵐だ。

 ただ、世間で賛否両論もある。例えば、「労働期間がしっかり契約で決まっていて、それを承知の上で派遣社員をやっているのだから考え方が甘い。」「普段、正規労働者と違って、残業もしていない。不況になって、クビを切られたって仕方ない。」「また、企業にとっても、すべて正規雇用にしたら、経営の柔軟性が取れなくなり、熾烈な競争に勝ち抜いていくことができない。」等、個人(派遣社員)に対して冷ややかな声や現在の派遣システムすら擁護する論調もある。

 特に新規雇用が少ない中、派遣会社以外に就職の道がなかった人なども多く、特に20代、30代の若者が多いのも大きな社会問題である。現状に打ち砕かれ、未来に希望が持てない人達が何十万人もいる社会は、いくらGDP世界第2位と経済大国といっても、歪んだ国としか言いようがない。今回の新政権での抜本改正は、おそらく、企業視点から労働者視点で法律を是正し、セーフティーネット、企業責任をしっかり法的に整備することに重点が置かれるだろう。

 法律はいつも知らぬ間に、業界と行政の都合の良い論理で出来上がっている。施行されてから、いつも、こんな調子だ。これからは国民のわかるように情報を開示し、また、わかりやすく説明し、弱者の痛みの少ない社会になるよう政治を進めてもらいたいものだ。


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