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日本の平和を維持するには何が必要か。 [社会・生活]

 国民の意識調査で、防衛力の増強、集団的自衛権の行使への賛成割合が、この数年増加傾向を辿っている。

 中国による尖閣諸島での威嚇や北朝鮮のミサイル攻撃の恐れなどから、そうした意識の増大は当然のことと言えよう。アメリカの核の傘の下で戦後68年間、何事もなく過ごしてきた日本であるが、そろそろ転機が訪れているのは誰もが感じている。中国の台頭、アメリカの国力停滞、テロの勃発、中東諸国の政情不安定など、国際状況が大きく変化する中、いままで堅固と思われていた安全保障の仕組みも、再度見直していく必要がある。そして、日本が平和を保つため、いままで何をしてきたか、どれだけの努力をしてきたか、反省を踏まえて、しっかり総括すべきであろう。

 この問題に対して、安倍首相は以前から強いこだわりを持ち、保守色も濃い。自著の「美しい国へ」では自立した国家、自ら帰属する国家の伝統、歴史、文化に誇りをもつという純粋な愛国心など、国家の在り方を強く訴えている。そして、その根幹にある憲法改正、特に9条に縛られていた戦争放棄、平和の概念についても意欲的に言及している。それを危険思想と危惧する声も多いが、経済や景気だけを政治の焦点にしてきた過去数十年間の政権と比べると一歩進んだと言えよう。

 さて、この「平和」であるが、それをどのようにすれば維持できるか。大きくは次の2極の議論に分かれると思う。一つは国防を強化し、しっかり国を守る。さらに日米同盟も強化し、軍事力の増強で不安を解消する考え。

 もうひとつは軍事よりも外交重視。日本が軍事力を高めれば、逆に相手国を刺激し緊張をもたらす。軍事的手法を使わず、あらゆる手段(文化交流や経済支援、環境技術支援など日本ができること)を行使すべきとの考え。さらにこの2極をミックスした考えもあるが、究極はこの2つに絞られると思う。

 どちらも納得する考え方であるが、一つ目の考えは相手が弱ければ軍事力で抑えることができるだろうが、対象が大国の中国であれば、現在の自衛隊では力不足、本格的な軍隊を編成する必要がある。気が付けば第二次世界大戦前と同じ巨大軍事体制が出来上がることも否めない。現在の日本人には、戦争加害者(前科者)の意識は低いが、周辺諸国 特に中国、韓国などはそれを決して許すことはない。むしろ、今以上に関係が悪化し、領海域での緊張感はさらに高まってくることが予想される。

 いずれにしても、日本をはじめ周辺諸国が安心、安全な高度な民主主義にならない限り、戦争の火種を断ち切ることはできない。利害関係だけで物事を進めれば必ず、火花は散る。これは国家同士だけでなく、人と人との小さな関係の中でも起こる。まずはお互いの信頼関係が大切だ。

国を守ること、そして自分の国に尊厳を持ち、自立心を高めることは重要である。しかし、歴史を観ればそれが戦争に直結しているのも事実であることも忘れてはならない。大河ドラマ「八重の桜」では、会津の人々が国を守るため、官軍相手に死闘を繰り広げ、最後は悲惨な結末を迎える場面がある。いわば福島県対山口県、鹿児島県の連合軍の戦争である。その日本人同士の争いに命を懸けていたのだから、今では到底考えられないことだ。明治前までは藩が国家の最上位で日本という概念は殆どなかったのだ。

 現在、経済、情報においてはグローバル化が進み、国家のすみわけが曖昧になっているが、人の国家意識はいまだ国境を境に固まっている。しかし、もっと時代が進めばすべてがグローバルに展開していくのではないだろうか。日本も中国も韓国も同じ法律と制度が適用される時代がくれば、尖閣諸島も竹島もどうでもよい問題になるだろう。

 一つの巨大な国家が力で支配するか、民主的に国々が集まって連合国をつくるか、いずれどちらかに進んでいくと想像する。ただ、その時、会津藩のように意地を張って多くの人の命や財産を失うことは、決して賢明とは言えない。

 安倍首相の描く国家は、確かに美しい国だが、ちょっと昔の武士の気骨が入り過ぎているような気がしてならない。むしろ、したたかな町人の生き方や精神も見習うべきではないだろうか。まずは国のカタチを維持するよりも、日本人がどんな苦境でも戦争をせず生き延びれる選択肢を見出すことが重要であり、しなやかな考え方が大事なのではないか。


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