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中国高速鉄道事故、民主化のうねりを期待する。 [外交・防衛・海外]

 中国の高速鉄道事故から10日以上経つ。衝撃的な事故処理から、一転して中国共産党は国民の批判をかわすのに懸命のようだ。

 「本当に行方不明者がいなかったのか」、映像を観ていたすべての人たちはそう思ったに違いない。あれだけ潰れた車両の救出活動を数時間で終わらせることは絶対考えられない。乗車客の名簿があるというならば照合作業にも時間がかかったはずだ。しかし、車両はすぐに潰され、埋められてしまった。その後、また掘り起こされ、調査が再開されたものの、真実は闇に葬られたままで止まっている。

 今回の事件で、注目すべきことは、メディアがはじめて反政府側に立って報道を始めたことだ。メディアに民主化の灯がともった。それは、この事件と同じくらい驚きべきニュースである。

 国家が情報をいくら隠そうとしても、インターネットの普及で阻止することは不可能だ。規制をかけようにもリアルタイムで情報が拡散しているのが現状の世界。すでにインターネット大国である中国で、昔のような情報操作を続ければ、逆に民衆を怒らせ、政府批判の大きな火種をつくってしまう。国家幹部の時代錯誤の古い頭が、この問題を大きくゆがめてしまった。

 それはさておき、民主化への道に、第一歩が踏まれた。これからの中国はどうなるのか。

 現在の中国は羽振り良く、勢もある。高度に繁栄した大都市には、超高層や大地下街、商業施設など桁違いに大きい構造物が立ち並び、かつ最先端の技術で溢れている。一方で、その中で暮らしている人々は、本当に幸福で、自分達らしい生活をしているのか、非常に疑問である。おそらく、大半の人たちはその繁栄を享受できず、またついていけていないのではないだろうか。いま、経済格差、生活格差など、本来の共産国の思想ではありえない姿が拡大している。

 その絶頂である中国も、やがてバブルのように弾ける時が来るだろう。もしかしたら、現在、建ち並ぶ超高層群も空きビルになり、商業施設もシャッターが降りたままになるかもしれない。あまりの早いスピードの成長には歪も生じやすい。その時は、すべての不満や怒りが爆発する。民主化に目覚めつつある人々は、やがて政府に目を向け、そして、大きな力で反発するだろう。かつて、天安門広場で起きたうねりは、もう、すぐそこまできている、そんな気がする。

 そうした意味で、中国の今回の列車事故処理は、中国共産党にとって、国家を左右する大試練である。「国家が大事か。それとも人ひとりの命が大事か。」その答えを、真摯に出さなければ民衆の苛立ちはとても納めることはできないだろう。

 日本も対岸の火事で観ているが、原発事故で同じようなことが言える。「隠ぺい」に「やらせ」、中国とそうたいして変らない。

 人間にとって、何が一番大事なのか、それを真剣に考えなければならない。経済や組織を守る事ばかりでは、日本も決して民主化とは言えない。


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