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省エネルギーは新しい文化や生活価値観を見出すかもしれない。 [環境・自然]

 電力供給不足により、省エネルギー対策は不可避の課題になってしまった。東京電力圏内の生産部門では500KW以上の大口需要家が25%、小口需要家でも20%の法的規制のある節電がはじまる。また、住宅や個人事業でも強制ではないが当然10~15%程度の節電は求められる。電力需要量により目標規制も少し緩くなるかもしれないが、1970年のオイルショック以来の非常事態である。

 民主党政権発足後、当時の鳩山首相が地球温暖化会議で日本の環境負荷削減目標を、1990年度比25%CO2削減を宣言して、経済界などから総スカンを食らったのは記憶に新しいところだが、今回の原発事故で大胆なエネルギー削減作戦を実行する以外に、この状況を乗り切れる道は無くなった。火力発電の復活などで、必ずしも環境負荷削減に直結するとは言い難い面もある。だが、エネルギー消費の見直しにより、確実にCO2削減には向かうだろう。

 一時的に企業の生産活動が低下し、日常生活への悪影響など、多くのダメージは避けられない。しかし、考え方を変えれば、世界に先駆けて大量消費型社会から環境循環型社会への転換に推進力を得たことにもなる。結果的にマイナスからプラスに脱皮できる大きなチャンスとも言える。

  そんな状況の中、「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないが、代替えエネルギーとなる太陽光発電や風力発電などの製造メーカーでは、企業、個人からの問い合わせが殺到して、その対応に追われているとの話だ。また、計画停電の心配から非常用発電機や蓄電池等も品不足状況が続き、これまで、陽があまり当たっていなかったところに、太陽が急激に照らし始めた感じだ。国全体がエネルギー問題に揺れて、国民もようやく重い腰を上げ真剣に考えるようになってきたと言えよう。自動販売機を始め、コンビニの明るすぎる照明などは、真っ先に槍玉にあがったが、そうしたものを含めて、もう一度エネルギーの全体像を見直すことは大事なことだ。

  では具体的に、このエネルギー危機にどう立ち向かい、どう進めていくのか。一般論を言えば、一つは自然エネルギーの利用、先ほどの太陽光や風力、地熱や波動などを利用した発電技術の駆使で化石燃料を低減すること、それから、設備機器やシステムの高効率化や運用面での節電、省エネルギーを実施することなど上げられる。電気を小まめに切ったり、空調温度の設定を変更するなど日常的な省エネ努力も軽くみてはいけない。「塵も積もれば山となる」。これが最も有効性の高い省エネルギー対策かもしれない。

  その節約運動をさらに促進させる方法がある。それが「エネルギーの見える化」。リアルタイムでエネルギー使用量を目視でき、省エネ効果も直ぐに把握できる。いわゆる、エネルギーのモニタリング技術である。これが一般に普及されれば省エネの実効性はさらに高まると考えられる。特に事務所ビルや家庭などで実施できれば節電を徹底しやすい。こうした商品は世の中に出ているが、まだまだ日陰の存在である。この装置を取り付けるのには結構な費用がかかるからだ。その普及にはコストの低減はもちろんであるが、補助金や税の優遇措置なども必要であろう。そんなことも、今後の国の政策に反映されたらと思う。

  省エネルギーと環境負荷削減。いまの日本が進むべき道である。いままでは選択と集中といいながら、日本の産業は分散状態にあった。これからはそこに集中すればいい。たくさんエネルギーを使うことが豊かさの象徴とされていた時代は終わりにして、豊かさの価値を見極める時代を迎えなければならない。電気が無かった時代に逆戻りはできない。けれど、我々の祖先たちの生活からヒントを得ることはできよう。昔は自然との付き合い方がうまかった。これを現代社会にも取り入れられたら、また新しい何かが発見できるかもしれない。

  「便利さ」。それは現代人の最大のネックでもある。この省エネルギーも、便利さと我慢をどこで折り合いをつけるのか、そこに究極の課題がある。

  ただ物事に必ずメリット、デメリットがある。便利さを手放したところに、何か違う価値観も生じるかもしれない。あまり後ろ向きに考えず、楽観的に省エネルギーを進めるのがいい。不便なところにも楽しさや価値を見出せれば、それが新しい文化を創り出すことだろう。


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