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人は自然を制覇できるなんて思うべからず。 [環境・自然]

 自然の力は人間の想像をはるかに超えている。

 スーパー堤防も原子力発電も、考えられる最大の津波、地震を想定して計画したはずだ。もし、地震、津波の規模がこれよりも小さければ、被害は格段に小さかったにちがいない。だが、現実は違い、何もかも想定外の出来事になってしまった。被害の大きさは桁外れである。

 では、リスクの設定を更にあげれば防災対策の強化はできるのか。しかし、それを引き上げても、今回のようにそれ以上の災害が襲ってくる可能性は否めない。また、経済性、実用性の面からも現実的でない。過去の判断基準が崩れ、どうすれば良いのか、まったく新たに考え直さなければならない状況に直面している。

 小さな自然は克服できても、大自然は手に負えない。

 東京などの都市部を見渡せば、山は切り刻み、海は埋め立て、川は地下へと閉じ込めた。自然をいじめ過ぎている。人間が封じ込めたと思っている自然も、ひとたび目覚めたら制御不能だ。それを今回の地震でまざまざ見せつけられた。自然を侮ってはならない。

 近年、環境共生という言葉がいたるところで使われている。特にマンション広告では、「緑豊かで人にやさしい自然」とか、「川のせせらぎとともに穏やかな時間を過ごす」など、耳触りのよいイメージで、この環境共生が謳われている。そこには自然の中にある危険性は全く末梢され、本来の意味が曖昧になっている。

 いま、千葉県浦安近辺や東京臨海部の地域では、この地震で液状化され、水道、下水などのインフラが寸断されてしまった。いくら最新式のマンションでも、停電で電気が使えず、トイレも水道も使えなかったら全く生活にならない。便利さに溢れた建物でも、一転して最悪の環境に転じることが実証されてしまった。

 日本は災害だらけの国である。そう考えると、日本ほど人が住みにくい国はない。しかし、四季折々の美しい自然、温暖な気候、鉱物的資源は無いが、海の幸、陸の幸など自然の恵みの多い、めずらしい国でもある。その自然の二面性と上手く付き合っていくことが、日本における環境共生と言えよう。

 日本の中で本当に安全なところは、おそらく国土の数%に満たない。そこにすべての国民が居住することはできない。その限られた狭い土地は海岸に面した平野部にある。大都市の殆どは海に近いところにある。今回のような大津波が発生すれば壊滅的打撃は免れない。防災をどう立て直すか。早急に結論を出さなくてはならない課題である。

 首都圏で大地震が起こる確率は年々高まっている。そのための準備として、まず国や行政はシミュレーションをして、被害の大きさ、そして最小限に食い止めるための避難方法など、万全を期するべきである。いままでも、そんなシミュレーションがなされていたようだが、もっと住民に徹底的に知れ渡るようにしなければいけない。不動産業界から大きなクレームがあるかもしれないが、そうした危険リスクはあらかじめ知らさなければならない。

 また、住民もいままでのように他人事で考えず、本気で防災を考えなければならない。国や行政がすべて自分たちの命を守ってくれると思ったら大間違いだ。守れるにも限度がある。最終的には自分の判断によるところが大きいことが今回の災害で教えられた。我々はもっと自然について深く学び、自然と上手く共生していかなればならない。都市の中にも怖い自然が潜んでいることを忘れてはならない。

 とにかく、今回の地震は、自然の大きさや怖さを、改めて身に浸みさせられた、実にショッキングな出来事であった。


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