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豪雪で事故多発。雪おろしのない建物が望まれる。 [社会・生活]

 雪下ろしで事故が多発している。

 雪国に住んでおり、いつも雪を見ている人でも、その性質を知らない人は多い。北海道の雪はさらさらして軽いが、上越の雪はベタベタして重いという。また、同じ地域でも1~3月ではそれぞれ違い、温かくなると降る雪の粒が大きくなる。雪だるまも軽い雪よりも、やや重い雪の方が作りやすい。つまり雪は気温によって、その性質が大きく変わる。

 物理的に観れば、雪密度でいくつかの種類に分類される。軽い順から言うと新雪0.05~0.15mg/m3、こししまり雪0.15~0.25mg/m3、しまり雪0.25~0.5mg/m3、ざらめ雪0.3~0.5mg/m3に分かれる。気温が低いほど、雪密度が小さく、結晶も奇麗だ。ざらめ雪になると、どちらかと言えば氷に近い性質になってくる。

 私は生まれ育ちが神奈川県で、豪雪には生活面では直接関わっていない。だが、2~3年間豪雪地帯で建物の融雪に関わる仕事をしていたので、少し雪に対して物知りになった。その時に、いくつかの面白い知見を得たので、ちょっと紹介してみる。

■屋根面はどのくらい傾斜角が雪が滑りやすいか。

 屋根材の種類によるが、30度くらいが、自然落雪しやすい。ただし、落雪する時には下から雪が引っ張られ上の雪が滑り始める。雪の誘引作用だ。ひさし部分の雪が少し落下した後、次々引っ張られ、最後にドッカと大きく落ちる現象を何度も観た。ちょっとした雪崩である。この現象を上手く使うと効率の良い融雪屋根ができる。仕組みはこうである。全体的には30度くらいの傾斜に、庇付近で45度の急こう配にする。そうすることによって、絶えず下方から雪が引っ張られ、自然落下しやすくなる。融雪装置などエネルギーを使わず、ランニングコストを使わなくて済む仕掛けである。

■屋根雪が落雪しやすくなる条件

 これは積雪と屋根面との接触部の摩擦抵抗に大きく影響する。屋根面の温度が氷点下(0度以下)ある場合は雪も氷結し、屋根面との付着強度、そして摩擦抵抗も非常に大きい。しかし、2度以上になると雪が融解し始めて、摩擦抵抗が極端に小さくなり、雪の自重とのバランスが大きく崩れる。この時に突然落雪が起こり、事故につながることがある。気温の変化や屋根の下の部屋の暖房温度などで、屋根雪の付着強度が変化するので注意が必要だ。

■突起物につららが発生

 積雪ともうひとつ厄介なのがつららである。ひさし付近にボルトや突起物があると雪解け水などの流れを止め、そこにつららが発生する。高いところにできたつららは落下すると危険である。屋根を作る時は突起部分のないようにしなければならない。

  いま日本海側の豪雪は私の知っている状況を遥かに越している。積雪4mでは家の1階部分は完全に埋まってしまう。上記に書いた屋根雪処理法はどこまで役に立つかわからないけど、これから建物を造る人に、ちょっとでも参考にしていただければ幸いである。

 2月は気温が上昇し、いたるところで落雪や雪崩が起こりやすくなっている。いままでの統計でも最も事故が多いのはこれからだそうだ。雪国の人たちにはくれぐれも注意してもらいたい。また、建物の雪対策、雪おろしをしなくてもよい建物が普及し、こうした事故が無くなることを願う。


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