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環境負荷CO2削減の最も効果的方法は、「便利さ」を削減することだ。 [環境・自然]

 最近、環境負荷CO2削減の話をトンと聞かない。
昨年、当時首相だった鳩山さんが、コペンハーゲンで開催されたCOP15の会議で、日本の2020年の排出量目標を1990年度比25%削減すると宣言し、国内外で大きな波紋をよんだ。特に経済界から、国際競争の中で日本だけが不利な戦いを強いられると、手厳しい批判が相次ぎ、賛否両論過熱した議論が交わされていた。しかし、今は「環境」と言えば、エコポイントとエコカー減税がいつまで続くのかという話題くらいで、本質的な環境問題の話はすっかり萎んだかに見える。

 考えてみれば、今年の猛暑は環境負荷削減を言えるような状況でなかった。とにかくエアコンが飛ぶように売れて、おそらく電力使用量も過去最高を更新したに違いない。身近に冷房嫌いの人がいるが、さすがの彼も毎晩冷房なしに眠れなかったと話していた。電力量の増加はCO2の増加も意味する。いくらエアコンが省エネ機能付きでも、台数が増えれば削減どころの話ではない。環境省は今回の猛暑に費やされたエネルギーシミュレーションをしているのだろうか。あまり話題になっていないが、その結果を聞きたい。さらに今年の冬に大寒波が続けば、25%削減の目標はどうなるのだろうか。

 この2~3年の気象変化はこれまで経験のないことばかりである。日本のみならず、地球規模で起きている天変地異はとても不気味だ。今回の猛暑も地球レベルの海水温の上昇が大きく影響しているという。まさに地球温暖化の脅威が目前まで迫っている感じだ。

 だが、今も世界のCO2増加を止めることはできていない。逆に益々悪い方向へ進んでいる。経済の発展とCO2の増加は現時点では比例関係にある。生活向上を目指す国々にとって経済発展は当然の目的であり、環境負荷の削減は、それにブレーキをかけることになる。中国、インドの経済発展は世界経済にとって喜ばしいことであるとされているが、このまま進めば地球環境がもたなさそうだ。そう考えると世界全体の発展は人類にとって決していいものではない。

 そんな中で、政府は「持続可能な発展」という耳触りのよい言葉をよく使う。本当にそんな事が可能なのだろうか。矛盾を孕んだ言葉にしか思えない。政治はもっとわかりやすい言葉で示すべきである。あいまいな言葉は、本質を分からなくしてしまう。

 私の考えでは、環境負荷削減において最も邪魔をしている要因は「便利さの追求」にあると思う。世の中が便利になればなるほど、エネルギーを浪費する社会になる。歩いていけるところでも時間短縮のため車を使い、のどが乾けば街のいたるところにある自動販売機を使う、また家電製品も使用していなくても内蔵されている電子回路保持のため常時電気が入っている。常に便利を維持するために、結果として莫大なエネルギーが常に使用されている。現在の中国、インドもこうした便利さを追求した文化、社会を目指し、ばく進している。また、それを実現させるような商品を世界中に普及しているのが日本である。そう考えると日本の産業界は環境に対して決して責任がないとは言えない。

 この問題について日本の社会で考えてみると、日本は便利社会としては、かなり完成度が高い国である。みんな知恵を絞ってここまできたのだが、気がつけば、「便利さの過剰社会」である。しかし、ここで終わってはいない。いまだに、どこか不便なところがないか懸命に探し、便利になる努力をし続けている。これが日本の産業、経済の特徴なのかもしれない。

 それを止めることは、日本のシステムを否定することになるかもしれないが、そろそろ考え方の方向性を変えていかなければならない。新しいマンションを建てることばかりでなく、リフォーム、リニューアルを徹底するとか、電気製品も部品交換で長持ちできるようにするとか、エネルギーを半分で済む仕組みをつくることが必要だ。それと同時に国民も最善の便利さばかり追求するのではなく、多少の便利さの放棄も受け入れる文化、社会をつくらなければならない。

 いきなり江戸時代、明治時代の生活に戻ることはできないが、少なくとも現代社会はすべてが過剰社会である。エネルギーや資源が豊富にあるから、そうなるのは必然であったが、いまは立ち止まるべき地点にいる。
 したがって、環境負荷削減の最も効果的方法は、持続可能な発展というまやかしではなく、「便利社会」を見直し、その中で国民が満足できる社会の構築が、これからの進むべき道であろう。ただ、便利さ漬けになった現代人が、それを放棄できるかどうか難しい話である。


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