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建築基準法の見直しで、日本らしい建築を取り戻せ。 [社会・生活]

 日本の建築技術、耐震、防火、環境、いずれも世界でトップ水準にあるのは間違いない。 

 しかし、現代の日本建築は、フランス、イギリスや北欧などの諸外国と比べてどうも見劣りを感じる。それはなぜか。まず一つは、街全体に整合性、調和がないこと。それぞれの建物が周囲と協調することなく建てられ、自然環境とも調和が図られていない。それからもう一つは、建物を構成する素材が無機質で味気なく、工業的なことだ。また、部屋の間取りも住みやすさ、使いやすさよりも経済が優先されているようにも思える。

 これらが私の気になる点であるが、さらにもう一つ、建築基準法に拠るところも大きいのではないかと思う。そもそも建築基準法は、関東大震災時に、建物の崩壊や火災の教訓から生まれたものだ。都市の建物を不燃、耐震化し、人々の生命の安全を図ることが命題であった。それによって、大部分の建物は改善され、関西・淡路の大震災で甚大なる被害であったが、マンションや病院などの鉄筋コンクリートや建築基準法が厳しくなった1982年以降の建物では殆ど被害が無かったことは、この法律の大きな成果でもある。

  しかし、細々(こまごま)と決められた法的な規制は、外壁や内装などの材料から、階段、廊下などの寸法等、あらゆる面で制約され、日本的の伝統的家屋を建築しようとしても、この法律に適合することは極めて困難である。日本の名建築である法隆寺や姫路城はしっかり違法建築になる。(これらは文化財として例外)
 地震や火災を考えれば、いまの建築基準法の重要は十分理解できるが、地域における建物の独自性や日本の文化的な建築要素を継承することも、大事なことだ。

 つまり、この法律はこれまで育んできた日本の良き伝統的考え方や住まいの概念を打ち消し、建物の機能とコストだけで思考(設計)する仕組みを促進させてしまったのではないかと危惧している。

  今、音楽、ファッション、アニメなど、日本文化が海外で高い支持を得ている。そこには新しさだけでなく、やはり日本の伝統的な素地が入り込み、それが外国人を惹きつけていると思う。

 かつて、ドイツの有名な建築家ブルーノタウトが、日本の桂離宮を見て、「泣きたくなるほど美しい」と絶賛しと言う。簡素ながら高度に洗練した日本の美に驚くとともに、それを高く評価のだ。そんな世界に誇れるすばらしい建築文化を、もっと現代の建築に活かすことができないものか。建築文化に配慮した建築基準法の見直しこそ、その大きな鍵になると考える。


タグ:建築基準法
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