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おもてなし精神でものづくり。これが日本の強みだ。 [社会・生活]

 いつもふらりと入る馴染みの書店。気がつけばアニメゾーンが大幅に増床し、専門書ゾーンがジワリと狭まっている。確かに商売として考えれば、売れない難しい本を多く置くより、子どもが小遣いをはたいても買うマンガ本を棚に入れていた方が絶対に得策。個人的には残念であるけど仕方ないことだ。今は立ち読みができないように、本はビニールに包まれ陳列されている。そのためか、書店の雰囲気は、そのゾーンを境にガラリと変わり、異質な空気が漂ってくる。

 最近ではアニメ、マンガもすっかり日本を代表する文化の一つとして挙げられ、一昔前のように「下らない娯楽本」と見下げることはできなくなった。海外ではその日本のアニメが美術館でも展示されるほど、芸術的な評価を得ているのだから、ちょっと戸惑さえ感じる。どうして世界中でこんなに評価が高いのか、きっと不思議に思う日本人も多いことだろう。

 これは日本のラーメン、カレー、そば、うどん、お好み焼き等の一般大衆の食文化が、いま海外で非常に注目を集めているのと共通した現象と考える。我々が普段あたり前と思っている食文化が、外国人にとって新鮮で驚きであり、しかもその完成度に感心させらたという話はよく耳にする。いわゆる日本のおもてなし精神がものづくりや食づくりを通じて、世界でも群を抜いた製品や食、あるいは文化を築きあげてきた成果だと思う。

 私はあまりアニメには関心ないが、ビニールに包まれていない雑誌をパラパラ観ると、確かにうなづけるものがある。内容は決して上等とは言えないものでも、絵の繊細さや完成度は日本人ならではの丁寧な仕事が表れている。手抜きをせず、真面目に取り組む姿が目に浮んでくる。

 それから、もうひとつの特徴として、普段、自己表現が下手で目立つことが苦手な日本人が、アニメの世界になると実に大胆で表現力豊かになる。ハリウッド映画顔負けの大アクションが展開されたり、逆に心の繊細な描写や自然の大切さ、人との絆など、非常にデリケートな物語など、その表現方法の自由さや幅の広さは、日本アニメの大きな特徴とも言っていい。そうしたことも多くの人を惹きつけているのではないだろうか。

 何でもまじめに取り組んで、一級品にしてしまうのは日本の誇るべき文化である。産業面では安くてそこそこの品質の製品を作る新興国の追い上げで、日本の工業の時代はもう終わりという声もよくあるが、これらの商品が市場に溢れるほど、メイドインジャパンのブランドが際立ってくるように思える。

 日本のものづくりの特徴は高度な技術にだけ表れるものではなく、むしろ普通の「何でもないところ」に潜んでいるのが凄いのだ。だから、いつまでも日本悲観論ばかり言っていないで、もっと自信を持ち世界に臨むべきであろう。アニメや食文化だけでなく、まだまだ誇れるものが目の前に無数転がっているような気がする。


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