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丹後半島の旅、城崎温泉、伊根の舟屋、天橋立を満喫。 [旅行・散策]

 ひさびさに夫婦二人で、関西丹後半島の旅に出た。天気は台風が来る前であった為、すこぶる晴天に恵まれたが、気温は常に30度以上の猛暑が続き、汗だくの観光巡りになった。
 まず初日は神奈川県の相模原を出発、新横浜から新幹線「のぞみ」で京都に下り、そこから山陰特急「タンゴディスカバリー」に乗り換えて宮津まで行き、そこから2泊3日、城崎温泉、伊根の船宿、天橋立の旅が始まった。

  老舗旅館「茶六別館」、日本の伝統的建物でゆったり気分
 最初の宮津での最大の楽しみは老舗旅館「茶六」に泊まり、日本三景の1つ「天橋立」をゆっくり眺めることだ。この旅館は昭和六年に開業し、創業約80年という。とにかく建物がいい。外観ははっきり言ってぱっとしないが、中に入ると実に手が込んでいるのがわかる。造りは数寄屋風で質素であるが、木や竹などの自然な素材で職人が丁寧に仕上げており、ある意味すごく贅沢な空間を作り出している。またよく手入れの行き届いた庭も建物と見事に調和されて数少ない日本の伝統的旅館の風格が漂っている。まさに、茶室に招待されたような気分で、慌ただしい毎日の生活から、一気にゆったりとした世界に引き込まれていき、旅の不思議さを感じさせられた。夕食の懐石料理は、繊細な京料理に、地元の岩ガキも調理され、宮津産のやや甘口の冷酒との組み合わせは絶妙で、二人とも程々酔いで、幸せなひとときを過ごした。

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宮津の老舗旅館「茶六別館」の建物。数寄屋風で味わいのある造りだ。

 城崎温泉、情緒あふれる街並み外湯、足湯めぐりが楽しい。
 次の日は丹後鉄道に乗り、城崎温泉に行った。ここは街の中が温泉宿で実におもしろいところである。特に7つの外湯をハシゴできることが有名で、夕方には浴衣姿に下駄がカラコロするそうである。我々は昼間の旅であったので、やや人が閑散としていたが、おそらく夜のほうが賑わって、この温泉宿らしさが醸し出ていたのだろう。
 ここでは我々はレンタルサイクルで街の中を廻ってみた。実際は自転車を使うほど街は大きくないが、とにかく太陽がギラギラ、暑くて歩いてたらすぐバテてしまいそうなので、急遽、自転車を使うことになったのである。
 まず城崎温泉で目につくのは、街の中に流れている川とそこに幾つもかけられている橋の風景だ。弁天橋、桃島橋、柳湯橋、愛宕橋、王橋、いずれも歴史を感じさせる石橋で、この橋と川の両岸に植えられた柳並木が、伝統的な造りで建ち並ぶ温泉宿を妙に風情、情緒を感じる街並みにしている。これが城崎温泉の不思議な魅力ではないだろうか。
 当初、ここで温泉宿の外湯巡りを考えていたが、無料で浸かれる足湯巡りがあることを知り、これも急遽変更して、薬師公園の足湯から、城崎文芸館前、柳湯、一の湯と4か所廻った。お勧めの足湯は城崎文芸館前。ここは温度加減の良さ(人によってはやや熱い)と湯が一番きれいで、また足も浸かりやすい。ただ、場所的には風情ある街並みから外れてイマイチ。まあ、タダだから贅沢は言えない。この日は朝から酷暑で、2人とも足湯に浸かる前は結構ヘトヘトしていたが、さすがに数ヶ所も浸かると足が軽くなり、疲れもかなりとれた。足を刺激させることはやはり体全体に効くようだ。

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王橋から観た柳並木と温泉街。泉源近くにある温泉寺。城崎温泉は面白いところだ。

 城崎から次は天橋立に戻り、ホテル北野屋に宿泊した。ここは前日泊った宿とは違い、近代的な内装の建物であった。ただ、部屋からの天橋立の眺めはすこぶる良く、夏の強い日射で照らされた青い海と天橋立は思わず写真を撮りたくなるほど感動的で、ここまではるばるやって来た甲斐を感じた。また静かに移り変わる海の表情を眺めていると、時間が経つのをつい忘れてしまいそうであった。この日も二人で地元の冷酒で懐石料理を戴き、また満足のひと時を過ごした。

伊根の船屋群はベニスと同じように、世界遺産にしたい。 
 次の日は今回の旅の最も楽しみにしていた伊根の船宿の遊覧である。天橋立駅からバスで50分。路線バスは5、6人しか乗っておらずガラガラであり、あまり人気スポットではないのだと思ったが、遊覧船前に着き、しばらくすると観光バスで人がゾロゾロ。あわてて遊覧船乗り場に並び、なんとか満席の船で景色を楽しめそうな絶好のポジションを確保できて、ひとまずホッとした。船が伊根湾出港し、しばらくするとかもめがいっぱい寄ってきた。でも、誰も餌を投げなく、ガッカリしたのだろうか、いつの間にか1羽もいなくなった。湾内は天気が良いせいかすこぶる穏やかでほとんど大きな波はない。船の白い波しぶきと青い海の色がすごくきれいで、それを見ているだけでも面白い。やがて、船宿群が見えてくると、静かにしていた乗客たちが一斉にカメラを構え懸命に撮影しはじめる。舟屋が遊覧船の片側しか見えないと乗客は見える側に移動してきて、船の中は結構ごちゃごちゃ。それでもみんな必死に写真やビデオを取っている光景はちょっと見ものである。まあ、人のことは言えないが。

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伊根湾から望む舟屋群。海と一体になった建築だ。

 しかし、伊根の舟屋はつくづく感心する。いくら湾内にあるとはいえ、これまで何度も激しい高波や暴風雨に襲われてきたと思うが、ここから眺める船屋は決して頑丈な造りをしていない。むしろ、貧弱ささえ感じる。でも、今でも普通に生活して、近代的な建築構造に修繕しているようにも見えない。たぶん、建物の中には昔からの知恵でさまざまな工夫が施され、粘りつよい構造をしているのかもしれない。ちなみにこの船宿の木材は、遊覧船での解説によると椎を使っているそうである。このような建物は日本中ここしかないと思うし、いつまでも世界遺産として残したいものだ。でも、生活している人は大変かも。

 日本三景の1つ天橋立。笠松公園から股のぞきを体験
 さて、旅の最後は何度も遠くから眺めている天橋立観光である。まずはケーブルカーで山に登り、笠松公園から有名な股のぞきで「逆さ天橋立」を体験した。逆さでみる景色は天に架ける橋の趣を呈するといわれているが、いまひとつピンとこない。純真な気持ちでなければそのように見えそうにない。ただ、この日も雲は多かったものの、晴天で天橋立の全景はくっきり、すばらしい眺めで感動的であった。十分に景色を満喫し、イチゴのかき氷を食べた後、今度ははリフトで下り、天橋立の松並木を散策した。来るまで知らなかったが外海側は海水浴場になっており、地元の方々なのだろうか、たくさんの人たちが砂浜で楽しんでいた。また、松並木道もサイクリングしている人、我々のような観光客もぶらぶら歩いており、なかなか面白いところである。ただ、ほとんどの松の木が、いまにもポッキリいきそうな老木になっており、しっかり手入れをしなければ、いつ何どき人災が起こるかわからない。また、これから何百年もこの風景を持続させるため若い松を植樹することも必要であり、みんなが楽しめる観光地を維持することの大変さをしみじみ感じた。

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股のぞきでみた天橋立。逆さでみる景色は天に架ける橋の趣を呈するといわれている。

 松並木の散策は1kmほどでUターンし、今度は龍神社側の桟橋から船で天橋立桟橋に渡った。ここには「3人寄れば文殊の知恵」で知られる智恩寺文殊堂や3回くぐれば文殊の知恵を授かるという知恵の輪灯篭など、和泉式部の歌塚など馴染み深い名所があり、歴史を味わいながら1時間ぐらいその界隈を巡り、旅の最後を締めくくった。

 今回はゆっくりと過ごすつもりであったが、行った先々で、あれもこれも観ようと色々欲が出て、結果的には忙しく体力的にかなりハードな旅であった。しかし、普段とは別次元の空間を味わえて気分はリフレッシュ、精神的に気持ちが軽くなり、「旅は必要だ」とつくづく思う、丹後半島の旅であった。

宮津温泉 茶六別館

宮津温泉 茶六別館

  • 場所: 京都府宮津市島崎2039-4
  • 特色: 天橋立を望む海岸に建つ数奇屋造りの料理旅館。宮津温泉に浸り、丹後の海の幸を生かした京風会席、かにづくし会席をご堪能下さい


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