インフレターゲット2%目標。

  不況にあえいでいた一昨年前に打ち出された日銀の大転換策である。だが、現在予期せぬことが起こり始めている。

  建設業界では異常インフレが発生している。2%どころではなく、20%、30%と一桁違うレベルの話だ。東北の復興、オリンピック需要、そして次々打ち出されるアベノミックス政策。これまでの需要と供給が一気に逆転し、20年前のバブル時と同水準か、あるいはそれを超える勢いのインフレ上昇が始まったのだ。

  いまや建設業では鉄筋やコンクリートの資材の高騰に加え、人手不足、型枠工や鉄筋工を確保するため高い賃金を払わなければ確保できない状況らしい。仕事が多くなったことで潤ったように思えるが、実際は採算割れで窮地に追い込められている方が多いようだ。まさにインフレの悪い面が出始め、深刻な状況になっている。

  これは建設業に限ったことではない。いまは活気に満ちて、良い感じで展開している業界も、おそらく同じ状況を辿る可能性が高い。われわれの生活にジワジワと押し迫っているようだ。はたして、日銀や政府は上手く経済をコントロールできるのだろうか。

  景気の上昇は、みんなが望んだことであるが、想定以上のダメージを覚悟しなければならない状況になったと言えよう。バブルの二の舞にならないように、政治はしっかり舵を取ってもらいたい。