今年の冬は雨も雪も少なく、外の空気は乾燥している。そのせいか自分の周りにはインフルエンザや風邪をひいている人たちが多い。この時期、ちょっと風邪気味で、病院に行くとたいてい2時間ぐらい待たされる。でも診察は5分程度。医者は通り一遍の話を聞くが、基本的に決った薬で処方することしか考えていない。こちらも薬目当てで来ているから、それはそれで良いのだが、とにかく薬代が高いのに些(いささ)か腹が立つ。この前の処方は5日間で約1500円。保険料3割負担だから定価5000円の勘定である。

 これはとても異常なことではないだろうか。

 以前もブログで書いたが、とにかく日本の薬は高すぎる。病院で処方される薬だけでない。薬局やドラックストアで市販されている薬も高い。我々はこの価格にすっかり慣らされているが、海外から観ると実はアブノーマルな状況なのかもしれない。

 日本は新薬(先発医薬品)が主流である。しかし欧米諸国では一般的にジェネリック薬品(後発医薬品)という特許切れの安い薬を使用している。新薬と比べて開発費を回収した後の製品だから、当然価格は安い。一般的に新薬の価格の2~7割で購入できるという。日本でもジェネリック医薬品の普及は増加しているらしいが、まだ20%程度で、大半は新薬が占めている。

 特別な病気ならば、最新の技術で開発された新薬の効能に頼りたいと思うが、のどの痛み、せき、くしゃみ等の普通の風邪ならばジェネリック医薬品で十分である。この前、処方された薬がどちらなのか聞いていないが、価格から判断すれば新薬しか考えられない。

 ところで、なぜ、ジェネリック医薬品が普及しないのか。

 ネットで調べたがよくわからない。おそらく想像では、医薬品業界の思惑や海外の医薬品の輸入規制で欧米の安いジェネリック医薬品が入ってこないとか、あるいは医師、薬剤師のジェネリック医薬品に対する信頼感の薄さや知識不足など考えられる。だが、やはり厚生労働省の政策がネックにあるように思える。

 いま医療費などの社会保障費が増加の一途を辿っている。その問題は高齢化社会が原因とされている。しかし、それと同時に、いま指摘した医薬品の価格にも大きな問題が潜んでいるのではないか。

 一方、病院の処方薬でなく、一般的に市販されている薬はどうか。たとえば我々に馴染みある風邪薬、ベンザエース、ルル、パブロンはどちらだろうか。これもよく見ればベンザエースA、ルルアッタクEX、パブロンエースAXなど、語尾に色々記号がついている。どうみても新開発のバージョンアップ品の新薬であろう。そうなるとジェネリック医薬品に比べて2、3倍高いことになる。

 では、どうしたら安いジェネリック医薬品が手に入るのだろうか。ネットなどで手軽に購入はできそうである。しかし、やはりドラッグストアで大々的に取り扱われ、手にとって選べられるようになってほしい。

 高い医薬品に、高い医療。日本はこんなことばかりしているから、財政破綻になるのだ。もし欧米並みに医薬品のをジェネリックで賄えたら、どのくらい財政削減できるのだろうか。日本の医療費35兆円と言われている。その半分以上は薬代だろうから、たぶん数兆円規模の節約はできるのではないか。消費税並みである。

 これから始まる社会保障と税の議論には、単に高齢化を理由に消費税率を上げることを目的にするのではなく、医療・医薬品改革なども合わせ、税を上げないしくみづくりを目指してもらいたいものだ。