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芸術の秋、東京芸術大学美術館で皇室の至宝の数々が展示。 [文化・歴史・芸術]

秋が近づくと、不思議に芸術が気になってくる。
いま伊藤若冲の代表作「動植綵絵(国宝)」をはじめ、宮内庁所蔵の皇室の至宝が、東京芸術大学大学美術館で展示されている。といっても、気が付けば開催期間のギリギリ。これを逃すと後悔すると思い、昨日、思い切り観に行った。
 
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題目は「日本美術をひも解く」、奈良時代から昭和にかけて、書や和歌、人物、物語、花鳥、動物、風景などをテーマ別に、芸大らしく日本美術の変遷をわかりやすく紹介した展覧会である。
 
上野には、国立美術館や平成館、東京都美術館など、何度も訪れているが、東京芸術大学美術館は初めて。それも興味津々、愉しみでもあった。芸大の門を入るとすぐわきにその建物がある。周囲の古いレンガ造りの大学校舎と対照的に、キューブ状のコンクリートとガラスのモダンなつくりで最近の建物だ。展示スペースも鑑賞しやすくコンパクトにまとまっている。私のようなシニアには大きな美術館よりも、このサイズがちょうどいい。
 
出品物には国宝やその水準(絶品級)のものが展示されており、一品一品じっくり観ていても飽きが来ない。とにかく、どれをとってもすばらしいものばかり。
また、歴史の教科書に必ず出てくる「蒙古襲来絵詞(国宝)」や美術の教科書に載っている「鮭(高橋由一:明治10年)」など、実物をまじかにすると、「ああ、これがあの時の・・・!」と学生時代の懐かしい記憶が甦り、ひときわ感動が込み上げてくる。こういう作品との出会いも美術館の愉しみのひとつだ。
 
今回の展示を振り返ると約千年の月日の流れの中、日本の美には一貫した精神のようなものが流れているような気がする。奈良時代の絵巻と江戸時代の花鳥から、近代の芸大出身の作家の作品など、やはりどこか深いところで共通している。それはなんであろか。西洋ではキリスト教をはじめとする宗教的な色合いが強いが、日本ではおそらく自然(四季、植物、動物、それらを包み込む風景)への畏敬と崇敬の念が根底にあるように思える。
 
若冲の絵の中には、植物が朽ちているところも忠実に、またきれいなものばかりでなく、毛虫や蛾など人が嫌うような虫も、その自然の中で重要な一員として描かれ、それが決して気色が悪い絵にはなっていない。むしろ、これが本当の自然だと諭すように描いている。また、それを美しい絵に仕立てているところが若冲の凄さであろう。
 
美術鑑賞は、観方によって面白さが倍増する。芸大とあって、美術史や技巧などに焦点を当てられていた感じがするが、もう一歩、踏み込んでほしいこともあった。
例えば、絵巻物など、歴史的な記述や美術的な解説はされていたが、その絵巻物のドラマ性がいまひとつ伝わってこない。国宝「春日権現記絵」では、館(やかた)の前には牛車が止まっており、幾人もの人が何やら話をしている。さらに館の中にも身分の高い公家人や使用人らしき人も大勢描かれており、それぞれが表情豊かに何かを話している。歴史的な価値を感じながら人物描画を観るのも愉しいが、そこに描かれている人々が何をしているのか、その時代に生きる彼らの生活や生き様の一端でも覗えれば、この蒔絵の魅力はグッと違ってくる。そんな解説がほしかった。
 
また書の三蹟である小野道風の「屏風土台」があったが、これも字ずらが素晴らしいのだろうが、どんな文章がかかれているのか、翻訳的な説明があったら、東風の人物像がよりはっきり見えてくる。
 
ただ、そんな細かく解説したら、観る人が動かなくなり、鑑賞に支障をきたすから、そこまでしていないのかもしれない。まあ、細かいことは家に帰って調べてみよう。
 
しかしながら、久々に芸術に浸り、充実した一日を堪能することができた。

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