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「バカの壁」養老孟司さんの脳化社会の話を聞いて [哲学 思想 名言]

スマホのユーチューブで養老孟司さんの講演を観ていたら興味深い話をされていた。
養老先生といえば著書「バカの壁」で有名な方であるが、いまも書店の店頭に先生の著書がズラリ並んでいる。
かつての専門は解剖学者だったそうだが、脳の研究をはじめ、いまではその観点から社会問題についていろいろ提言をされている。特に現代人の「脳化社会」あるいは「都市脳」がもたらす弊害をリアルに批評し、「自然」の大切さを説いている。
 
今回の動画もそうした人間社会における問題提起であったが、特に印象深かったことに「空地(あきち)」について語られたことだ。空地とは、使ってない土地のことで、例えば雑木林などは、いまの社会では空地のひとつ。空いている土地は無駄であり、開発して建物や駐車場にした方が有効利用だというのが現代人の考え方。しかし、よく観れば、そこには鳥や虫などが生息しており、自然の豊かさが存在している。この脳化社会では、その自然は意味ないものととらえられ、当然のように自然破壊が進められていくのだという。
たしかに昭和の中頃まで、街の何もないただの空き地は、子供たちの貴重な遊び場であったが、いつぞやか、そうした空地にはすべてフェンスが張られ、子供たちの姿もめっきり観ることがなくなった。考えてみれば、子供たちが触れ合える身近な自然や空地は、みな大人たちの所有物になり、子供たちは塾やスイミングスクールなど人工的な環境に閉じ込められてしまった。まさに都市化、脳化社会の犠牲者である。
 
これは子供だけでなく、大人でも脳化社会にどっぷり浸かった人間が大半を占めている傾向がある。一見、分別のありそうな人に観えても、物事が思い通りにいかないと怒りをぶちまける人がいる。ああすれば、こうなる。これが都市脳の考え方で、いまの現代人の多くはこれに染まっているという。しかし、自然はそうならない。たいていは裏切られる。昔の人はそれを仕方がないと悟ったようだが、今の人はそれが許せない脳になっており、それがイライラや怒り、ノイローゼなどにつながるそうだ。自分も含めてそういう人が多いのは事実だ。
 
現在の資本主義の世界は、すべて価値観で測られており、その尺度で判断される。そうした思考が支配する社会には、人間味溢れる大らかさがない。特に最も上手くいかないのは「人間関係」。それは、「自然」である「人」と「人」の組み合わせ、だから上手くいかないのは当然であるという。
 
なるほど、と思わず頷いてしまったが、脳化社会における養老先生の話を聞き、その奥深さを感じるのであった。

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